【朝日杯FS】アドマイヤズームが新ヒーローの座へ 来春目標はNHKマイルC
川田将雅(39歳)=栗東・フリー=騎乗で5番人気のアドマイヤズームが、2番手から鮮やかに抜け出しGⅠ初制覇を果たした。鞍上は昨年のジャンタルマンタルに続き、連覇を達成。来春はNHKマイルC(5月11日、東京、GⅠ、芝1600メートル)を大目標に、さらなる活躍を目指す。2着に2番人気のミュージアムマイル、3着に9番人気のランスオブカオスが入った。 ◇ 冬枯れの淀のターフで、力の違いを見せつけた。未勝利勝ち直後のアドマイヤズームが、一気にGⅠの頂点に到達。デビューからともに歩みを進めてきた川田騎手が喜びをかみしめた。 「とてもいい走りで勝ち切ってくれて、ホッとしています。4コーナーで勝ったと思いました。まずはGⅠ馬まで上り詰めたということ、こうやっていい走りをしてくれたことをほめてあげたいなと思います」 好スタートを決めると、スッと2番手を確保。前半3ハロン35秒4のスローペースでも折り合いを欠くことなく、直線入り口で先頭に立つと、あとは馬場の真ん中を独走状態だ。後続を全く寄せ付けず、2馬身半差の完勝だった。 10月の新馬戦で4着に敗れるも、前走の未勝利で3馬身差の楽勝。ただ、精神面で難しさのあるタイプで、前走のゴール後にコントロールが利かなくなる場面もあった。「レースまで無駄な体力を消耗しないように、という返し馬、ポケットでの過ごし方、ゲート裏での過ごし方でした」と川田騎手。連覇達成でこのレース最多タイの4勝目となった名手が、細心の注意を払っていたからこそ、全能力の発揮につながった。 2019年に亡くなった近藤利一氏は、〝アドマイヤ〟の冠で知られ、1999年の日本ダービー馬アドマイヤベガなどの活躍馬を所有。その跡を継ぐ形となった妻の旬子オーナーにとっては、初のGⅠ制覇となった。川田騎手が「亡くられてしまいましたが、近藤会長にみんなでお世話になりましたし、奥様に引き継がれている中で、こうして〝アドマイヤ〟の馬でGⅠを勝てたということは先生を含め、僕もとてもうれしく思っています」と話せば、友道調教師も「一番、お世話になったオーナーですので、いつもですが、ゲンを担いで、その(アドマイヤマーズで勝った香港マイルの)ときの近藤利一オーナーのスーツで来ました」と笑みを浮かべた。 友道厩舎は、21年に朝日杯FSを制し、今週の有馬記念でラストランを迎えるドウデュースがスタンバイ。去り行く名馬に続く次代のヒーローに、指揮官は「来年の春はNHKマイルCを目指して、一番いいコンディションで出られるように」と期待を膨らませる。レースごとに進化を見せる若駒が、来年も中心となっていく。(山口大輝)