FRBの見通しは「ゴルディロックス」、市場に買いシグナル点灯
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げ観測を押し戻すとトレーダーは覚悟していたが、議長はそうしなかった。米金融市場では買いシグナルが点灯した。
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米金融当局が金利を据え置き、年内に0.25ポイントの利下げを3回実施するとの見通しを引き続き示したことで、20日の債券価格は上昇し、株価も過去最高値を更新した。
アジア時間21日も米国株先物と米国債が値上がりするなど上昇の流れは続いた。ブルームバーグの商品価格指数は年初来最高値を更新した。
パウエル議長は当局が早過ぎる緩和のリスクに留意していると強調する一方、市場を動揺させた最近のインフレ統計について、長期見通しを変えるものではないと述べ、重視しない姿勢を示した。また想定外に力強い景気が失速した場合、行動する用意があることを明確にした。
アポロン・ウェルス・マネジメントのエリック・スターナー最高投資責任者(CIO)は、「『ゴルディロックス』のシナリオはまだかなり有効だ」とし、「米当局は年内に3回利下げする見通しを維持したが、経済成長率予測を引き上げ、失業率予想を引き下げた。これが、株式市場の好むソフトランディング(軟着陸)説をさらに後押ししている」と指摘した。
もっともウォール街のトレーダーは米金融当局に関して自らが望むことに耳を傾けてきた長い歴史がある。2022年の利上げ局面入り後に当局がどこまで利上げを進めるかを市場は過小評価し、その後、利上げの影響で景気が減速すると、金融政策の急転換を時期尚早に予想した。
だが今回の市場の反応は、投資家の見方が現時点で当局にいかに近いかを示唆するものだ。
JPモルガン・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、プリヤ・ミスラ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「米金融当局はまさにソフトランディングの継続を望んでいる」とし、当局のインフレ目標である「2%に向かって一直線に下がることはなかった」と語った。