<イチから分かる>米FBIも捜査 FIFA汚職は何が問題になっているの?
ロシア、カタールW杯招致でも疑惑
米司法省は、南アフリカで開催された2010年ワールドカップをめぐっても、開催地決定で「不正が存在した」と明かし、捜査を進めています。スイスの捜査当局も、2018年と2022年にロシアとカタールでそれぞれ開催されることが決定しているワールドカップの開催地選定に不正行為の疑いがあると発表。6月2日に辞意を表明したFIFAのブラッター会長(※)も米司法省の捜査対象になっています。 また、スペイン紙は先日、2002年のワールドカップ日韓大会の招致決定後に当時の長沼健・日本サッカー協会会長が南米連盟に投票の謝礼として150万ドル(約1億8000万円)を渡していたと報道。日本サッカー協会の小倉純二名誉会長が否定する騒ぎに発展しました。捜査の進展いかんでは、2018年のロシアや2022年のカタールの開催取り消しなどに発展する可能性もあります。FIFAの監査・法令遵守委員会も「(開催国決定の)票が金銭で買われたことが明らかになれば、開催権を取り消す可能性がある」との見解を示しています。今回の問題で、サッカー界に今後さまざまな影響が及ぶのは間違いないでしょう。
もとは欧州8か国のボランティア組織だった
もともとFIFAは、スイス、オランダ、スウェーデン、スペイン、ドイツ、デンマーク、フランス、ベルギーの8カ国が母体となって1904年に発足した小さなボランティア組織でした。しかし、その後FIFAは巨大な組織へと成長し、いまや財政規模は国家並み、ワールドカップで得る収入は小国の歳入よりも大きいのです。その一方、国連総会の仕組みをモデルとし、開催国決定などで「一国一票制度」を原則としながら、国連のような正式な国際機関ではなく、あくまでも任意団体にすぎません。汚職事件によって、どのように組織改革や透明化が進み、競技のための組織へと生まれ変わっていくのでしょうか。 (真屋キヨシ/清談社) (※)6月27日には辞意撤回を明言したの報道も出ています