ブルーノ・タウト(8月6日)
ドイツの建築家ブルーノ・タウトは「日本文化の再発見者」と評される。ナチスの台頭で祖国を離れ、1933(昭和8)年から3年半、日本で暮らした。京都市の桂離宮や三重県の伊勢神宮、岐阜県の白川郷の民家に魅了された▼建物ばかりではない。風俗や日用品にも目を配り、「日本雑記」に記した。極東の島国の暮らしを細かく観察している。例えば傘だ。この国は勢いよく雨が降る。ゆえに大きめに作られ、水を通さないよう紙に油が塗ってある。空が暗くてもよく光を通す。〈色紙を用いたものはこの上もなく美しい〉。雨の中に花のように開く赤や紫が思い浮かぶ▼風土に根差し、実用性を兼ね備えたデザインは人を引き付ける。伝統工芸の担い手らが意匠や販売戦略を学ぶ県の講座がきょう6日始まる。漆や会津木綿、和紙などを使って酒器や壁掛け、アクセサリーに仕上げる。世界的デザイナーのコシノジュンコさんが魅力を生むポイントを伝授する▼先人が連綿と受け継いできた伝統工芸品の良さを残しつつ、デザインに磨きをかけ、外国人を感嘆させて。新しいフクシマの宝を発信してほしい。講座に学ぶ皆さんは称して「古里の再発見者」。<2024・8・6>