松重豊&甲本ヒロトが語る、『劇映画 孤独のグルメ』と主題歌
主題歌の『空腹と俺』
──20歳代から30歳代にかけて、ヒロトさんの背中が見えなくなって、でもヒロトさんの存在を励みにしていたということでしたが、またご一緒できるというのはいかがでしょう。 松重 感慨深いですね。ヒロトがロックスターの頂点までドーンと上がっていって。でもおいしいもの食って太ったよ、という人じゃないですよね。いつまでもガリガリの腹を出して、だから俺もあんなに飯を食っている番組をやっているけれど、あいつ太ったよねと言われたらおしまいだと思っていて、そこはハングリーなんですよ。やっぱりずっとヒロトの背中を追ってたから、ちゃんとしていられる。 ──「珉亭」でアルバイトをしていた頃の10歳代の自分にアドバイスを送るとしたら、どんな言葉になるでしょう? 松重 アドバイスを送るというよりも、「珉亭」で働いていた頃の甲本ヒロトと松重豊に殴られるんじゃないかという危機感のほうが大きいんですよ。10歳代の自分が、いまの自分の生き方を見たらどう思うんだろうというのがあって、言葉をかけてあげるなんておこがましくてできない。というか、あいつらに意見を聞きたいですね。あの頃のヒロトに、この映画やったんだけどどう思う?って聞きたい。無責任に、人が作ったものをダメだと言ってた、あの頃の怖いモノ知らずの自分たちに聞いてみたい。 甲本 たしかに。飯はおごるからアドバイスください、ですね。 松重豊 1963年生まれ。福岡県出身。大学卒業後は蜷川幸雄主宰の劇団を経て、多数の舞台、ドラマ、映画などで活躍。近年の出演作に「Cloud クラウド」「正体」など。10月に「たべるノヲト。」(マガジンハウス)を上梓する。 甲本ヒロト 1963年生まれ。岡山県出身。高校卒業後に上京、85年にTHE BLUE HEARTSを結成、87年に『リンダリンダ』でメジャーデビュー。95年に解散してからは、THE HIGH-LOWSを経て、現在はザ・クロマニヨンズのボーカリストとして活動する。