お花屋さん、フォロワー100万人も SNSがPRの主軸に
オンライン販売が中心
生花店が交流サイト(SNS)を窓口にしてオンライン販売を増やし、若い世代に客層を広げている。SNSの総フォロワー数が100万人に上る店もあり、店舗販売をしなくてもSNSで集客できている。若者の利用で成人式需要が高まり、目に留まりやすい動画やライブ配信で信頼を得ることで高額商品が売れている。 【画像】カタログのようなインスタ 動画投稿アプリ「TikTok」などSNSの総フォロワー数が100万人に上るフラワーギフト専門店のMORIYA(大阪府吹田市)は、オンライン販売や法人向けの取引が中心だ。主力のブーケは年間約5000件の注文があり、1、2万円の商品の注文が多い。 同店はSNSでの投稿に力を入れ、多い媒体で1日1回。商品の写真などを発信して、実物を見なくてもイメージしやすくする。花束が並ぶ同店のインスタグラムの画面は、商品カタログさながらだ。プロフィル画面にオンラインショップのリンクを貼って販売につなげる。 客の年齢層は広く、10、20代の若年層の利用も多い。特に成人式や卒業式などでは花を贈る文化が年々定着。実際に販売した成人式の花束を投稿するとSNSで共感を呼んで来年に向けた注文の相談もあり、同店では2月の「フラワーバレンタイン」を超える物日になっている。青いバラをはじめ、バラのブーケが人気を集める。 代表の森俊弥さんは「若い世代からは初めて花を買うという声も多く、SNSが花の購入へのハードルを下げている」と話す。
1万円前後の商品も好評
インスタグラムのライブ配信を活用する生花店のやさしいはな(東京都練馬区)は、店頭よりもオンライン販売が中心だ。客層の9割が女性で、ギフトはもちろん自宅用の購入も多いという。オンラインでは1万円前後の商品が人気を集める。珍しい草花の品目を扱うなど、花好きな人にも訴求する。 同店の濱口貴弘さんは7年ほど前からインスタグラムでの発信を始め、今ではフォロワー数が31万人を超える。年齢層では40、50代が一番多い。定期的に行うライブ配信では、製作過程を見せながら旬の花材などを使ったブーケを限定で販売。視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取れ、「実際に作っている場面を見られてうれしい」「作っているところを見るだけで癒やされる」などの声が届くという。 濱口さんは「製作過程などを配信することで信用が生まれ、ファンになってもらえる」と話す。SNSを見て花を買いに店頭を訪れる人もおり、SNSがファン獲得の鍵となっている。(菅原裕美)
日本農業新聞