『モアナと伝説の海』での鮮烈デビューから7年 モアナ役・屋比久知奈の現在
「前作の『どこまでも ~How Far I'll Go~』が知らない世界や新しい何かに対する憧れをキラキラと描いていたのと対照的に、『ビヨンド』はいろんな世界を見て、積み重ねてきたものや自分の役割もあって、モアナが大人になって成長して守るものができたからこその葛藤を描いている曲なんです。だから、違うドキドキがありました。ワクワクと高揚している一方で、不安や武者震いもあるというコントラストが面白い曲なのですが、難しいです」
収録ではモアナらしく真っすぐ歌うことを心掛けつつ、試行錯誤を重ねた。「(オリジナル版モアナのアウリイ・クラヴァーリョが歌う)オリジナルの曲があるので、その声の表現の仕方や曲の空気感を大事にしつつ、じゃあ日本語でどういう表現だとそれに近づけられるのかというのを音楽ディレクターや訳詞家の方と相談しながら、言葉のはめ方、表現、声の出し方、響きなど細かく、細かくやっていけたので、それがうまく作品の中で伝わればいいなと思っています」
この7年を振り返り、「早かったような、たっぷりだったような、でも本当に感謝しかないです」と充実感をにじませた屋比久。「楽しいことも、悔しいことも、大変なこともあったけど、好きなことをやれているのはすごく幸せなことだなと思いますし、舞台を通していろいろな人や作品と出会えて、糧やつながりや大事なものもいっぱいできました。すごく充実した7年だったと思うと同時に、今回この続編をやるとなって前作の自分の歌声を聴いてみた時に“もう今はこうは歌えないな”とちょっとした寂しさも感じたりして」と切なげに笑う。 「でも経験してきたものは確かにあって、だからこそできる表現もきっとある。それをもっともっと突き詰めていきたいなとあらためて思いました」と決意を新たにした屋比久。「初心に返ったのと同時に、今いる場所と、今ここから『さあ、どうしようか?』ということもちょっと考えさせられました。深いところで皆さんに何かを感じてもらえたり、皆さんを動かせたり、わたしもそれに伴って動かされたり……、表現の世界でそういうつながりみたいなものができたらいいなと思います」と今後も奥深い表現の世界を探究していく所存だ。