#06 星条旗のおばさん / フォト・ジャーナル 高橋邦典 第3回
シカゴ郊外の町ウィートンに、66歳のロザリーさんを訪れた。 「なんとか生きてるよ」 彼女はぶっきらぼうにつぶやいた。収入は政府から支給される年金の623ドル(約6万円)だけ。家賃を払えばすっからかんだが、買い物は一切せず、食料は低所得者支援センターでボランティアをしながら調達してくる。 若いとき空軍にはいりたかったが試験に落ちて、それから子守り、看護師、銀行の店員、ファストフード屋、薬屋のレジ打ちと、なんでもやってきた。 「いったい政府はどうなってるんだろうねえ。金持ちばかりがいい目にあって」 政府は嫌いだが、愛国心は人一倍だ。毎日被る星条旗のスカーフはすっかり彼女のトレードマークになった。 「イラクやアフガニスタンに送られた兵士たちのためさ」