全壊本堂解体前に法要 輪島市門前の古刹・専徳寺
能登半島地震で被災した輪島市門前町和田の専徳寺で27日、解体撤去前法要が営まれた。壊滅的な被害を受けた本堂や渡り廊下、離れ座敷は全壊と判定され、あと6年で創建550年となる寺の歴史にいったん幕を下ろすことになった。参列した門徒らは静かに手を合わせて「必ず再建させたい」と誓った。 専徳寺は1480年建立の浄土真宗の古刹(こさつ)で、八世蓮如の能登行脚が起源とされる。1694(元禄7)年鋳造の梵鐘(ぼんしょう)は価値が高く、戦争での供出を免れ、市の指定文化財となっている。 吉岡聡住職(61)によると、元日の地震では2007年の地震で立ち入り禁止となっていた本堂のほか、仮本堂の門徒会館や庫裏の天井、壁が崩落した。本尊の阿弥陀如来像も祭壇ごと倒れ、光背や両手などが破損した。公費解体に向けて門徒役員が相談し、5月中旬、市に申請した。門徒会館や庫裏は残す。 市には一般世帯の解体撤去が落ち着いた後での解体を申し出ており、実際にいつ解体が実施されるかは決まっていないという。 法要には門徒10人が参列し、読経が響く中、焼香した。「本堂瓦下ろしの儀」では、吉岡住職や親戚寺院関係者、門徒が順番に倒壊した本堂の瓦を一枚ずつ下ろした。 専徳寺は本堂の再建などに向けて資金を募るクラウドファンディングを実施している。 平均年齢80歳近い門徒約120人の多くが自宅に大きな被害を受けた。門徒総代の高崎覚さん(69)は「まだ声を掛けられる状況でないが、最後は門徒の力でいつの日か再建したい」と話した。 吉岡住職は「法要を一つの区切りとして必ずや復興し、500年を超える寺の歴史をつないでいけるよう一歩一歩進んでいきたい」と語った。