「鉄の街」のシンボルが崩落の危機か 北九州市が調査へ3000万円を計上
近代製鉄発祥の地で「鉄の街」と呼ばれた福岡県の北九州市。そのシンボルとして保存されているのが、八幡東区の「東田第一高炉跡」です。この建物の劣化が進み崩落の危険性が高まっているとして、北九州市が本格的な調査に乗り出すことがわかりました。 【写真で見る】近代製鉄発祥のシンボル、劣化が進み崩落の危険性 東田第一高炉跡
近代製鉄発祥のシンボル「東田第一高炉跡」
北九州市八幡東区にある市指定の史跡「東田第一高炉跡」。1901年に官営八幡製鉄所が操業を開始した場所に建つ高炉は、鉄鉱石を溶かして鉄を取り出す施設です。現存する高炉は、1962年から10年間操業していました。1999年に市の史跡となって一般公開され、近代製鉄発祥のシンボルとして市民に親しまれてきました。
劣化進み立ち入り禁止に
RKB 今林隆史記者 「鉄の街・北九州のシンボルとなってきた建物ですが、危険な箇所が確認されたということで、中に入ることができなくなっています。よくみると錆が目立つところもあります」 現在ではいたるところで劣化が進み、ボルトや鉄板などが広範囲にわたって落下。北九州市は危険な箇所があるとして、おととしから立ち入りを禁止して一部を補修してきましたが、これまで大規模な改修工事は行われていませんでした。
市民からは「残してほしい」の声も
北九州市民は 「北九州と言ったらこういうイメージがあるので残すのもいいんじゃないかな」 「私の父も八幡製鉄所で働いていたんですよ。やっぱり代々残して欲しいです」
稼働していた高炉の保存は日本唯一
稼働していた高炉が保存されている日本唯一の施設で、旅行会社などから公開に関する問い合わせも来ているということです。産業遺産の保存や活用について研究する専門家は、高炉を見学できる施設は世界でも限られているとしたうえで、地域が一体となった保存のあり方が望まれると指摘します。 熊本学園大学(産業技術史) 市原猛志 講師 「継続して100年200年というような計画を将来を見据えながら、資金をどういう風に確保していくか。そして地域のためにどのように生かしていくべきかということを考える必要性があるかなと思います」
北九州市が調査 保存方針を検討へ
東田第一高炉跡のすぐ近くには都市高速やJR鹿児島線、県道が通っていて、落下物による事故の発生も懸念されています。市の関係者によりますとこうした状況を受け北九州市は新年度予算案で東田第一高炉跡の老朽化対策の調査費などとして約3000万円を計上。ドローンによる外観の検査のほか、触診などを行って早急に状態を把握し、今後の保存方針を検討していくということです。