【F1分析】角田裕毅が開幕戦バーレーンGPで入賞を逃すことになった3つの理由。今回の戦略に大きなミスはないのでは?
F1開幕戦バーレーンGPの決勝レースで、RBの角田裕毅は14位に終わった。レース序盤は10番手と入賞圏内を走行……しかもメルセデスのルイス・ハミルトンや、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソと同等のペースで走っていたため、入賞の可能性は高いと多くの人が考えたに違いない。しかし、結果的には14位無得点。 【動画】ついに開幕した2024年のF1! バーレーン GPのハイライト なぜ角田は今回入賞を逃してしまうことになったのか? 走行ペースの推移を見ていくと、いくつかの要素があったように思われる。
■2回のピットストップ、そのタイミングは正しかったのか?
角田は今回のレース中、2回のピットストップを行なった。そしてそのいずれでも、ポジションを落としてしまうという結果になった。これはいずれも、先にピットストップしたライバルにアンダーカットされてしまったからだ。 結局レースを終えた段階では、アストンマーティンのランス・ストロール、キック・ザウバーの周冠宇、ハースのケビン・マグヌッセンにアンダーカットを許してしまった。 ではこの角田の戦略は間違いだったのかといえば、そうと言い切ることもできない。 角田は1回目のピットストップを、ストロールや周よりも5周遅らせた。これにより、周に先行され、ストロールには差を縮められることになった。ただ、周やストロールがピットに入ったのは10周目。いくらソフトタイヤでスタートしたとはいえ、2ストップで走り切ることを考えれば、あまりにも早すぎるタイミングであった。つまり周やストロールは、3ストップになる可能性が高かったと言えるだろう。 それを考えれば、2ストップを考えている角田陣営としては、合わせてピットストップしてしまえば中途半端な戦略になってしまう可能性があった。実際、角田の前を走っていたアロンソやハミルトンも、ステイアウトしているし、ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンは、角田とほぼ同等のタイミングでピットインした。 第2スティントでもその状況は変わらなかった。アンダーカットして角田よりも前を行った周はあまりペースがよくなく、すぐに角田に追いつかれてしまう。その結果、周はたまらず28周に2度目のピットインし、ストロールもその1周前にピットに入っていた……まだレースの折り返し地点であり、この時点で彼らが3ストップになるのは必至と思われた。 ピットストップのタイミングが遅すぎると思われるかもしれないが、このレース半分の距離でピットインし、残りをタイヤ無交換で走り切ろうというのは、あまりにもギャンブルがすぎる戦略だったと思う。 このグラフは、バーレーンGP決勝レース中の各車のラップタイム推移をグラフ化したものだ。これを見ると、2回目のピットストップのタイミングを、周やストロールに合わせるわけにはいかなかったもうひとつの理由が分かる。 周がいなくなったことで角田は、ペースを一気に上げている(上のグラフの赤丸の部分)のだ。この時のペースは、スティントの終わりに近づこうとしていたハミルトンのそれに匹敵するものだった。そう考えれば、3ストップであると考えられる周やストロールを相手にする必要はないと考えるのは、ごく自然なことだろう。 ただ、ここで誤算が待っていた。