<消費税8%>都営地下鉄の運賃値上げはなぜ6月から?
4月1日、消費税が5%から8%にアップされました。それに伴い、公共交通機関である鉄道やバスも4月1日に運賃値上げを実施しています。交通機関では、運賃を1円単位で値上げるのか、それとも10円単位にするのかといった議論がありました。その結果、ICカード乗車券では1円単位での運賃値上げとなり、現金で切符を購入する場合は10円単位での料金設定になりました。公共交通の運賃は、二重体系が採用されたのです。 こうした事態に加え、公共交通機関によって値上げのタイミングにバラつきが出ています。例えば東京都交通局は、都バスは4月1日から値上げしたのに対し、都営地下鉄は6月1日からとしました。どうして、地下鉄とバスで運賃値上げの時期が異なっているのでしょうか。
条例改正と複雑な運賃体系
東京都交通局では都営地下鉄やバス、都電などを運行しています。4月1日に運賃の値上げしたのは、都バスと都電だけでした。都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーの運賃改定は6月1日の予定です。都営地下鉄の場合、初乗り運賃が現在の170円から180円(ICカードは174円)に、日暮里・舎人ライナーは初乗り160円が170円(ICカードは165円)になります。利用者としては、同じ東京都交通局なので4月1日に統一して値上げをすればわかりやすかったともいえます。 値上げ時期がズレた理由について、東京都交通局は次のように説明しています。「JRや私鉄と異なり、公営交通は条例で運賃が定められています。そのため、運賃を改定するには議会での議決が必要になります。議決を経た後に国土交通省に運賃改定の申請をして、認可を受けなければなりません。消費税増税の閣議決定が10月だったので、直近の12月の議会で運賃改定が議決されました。そこから料金システムの改修に着手したのですが、改修には6か月の時間が必要になるので、4月1日には間に合わなかったのです」 都バスや都電は均一運賃のため、システムは簡素です。そのため、4月1日までにシステム改修は間に合いました。しかし、距離に応じて運賃が変動する地下鉄や日暮里・舎人ライナーは間に合いませんでした。その結果、地下鉄などは6月1日から運賃値上げとなったのです。 ちなみに、4月1日に運賃値上げが間に合わなかったのは、東京都交通局ばかりではありません。函館市は5月1日から市電の運賃を、名古屋市は9月1日から市バス・市営地下の運賃改定を実施します。