「実は日本は学歴社会ではない」りそな総研主席研究員に聞く、2025年定年延長・再雇用の義務化で変わるシニアの働き方 長く稼ぐには「現役時代の働き方」がポイント!
4月から定年の『廃止・延長・雇用』が義務化
賃上げが期待できない場合、長い期間働く必要が出てきます。シニアの働き方について、パーソナル総合研究所の小林祐児上席主任研究員に伺いました。今年4月から高年齢者雇用確保措置という法律が施行され、全ての企業に以下の項目で完全義務と努力義務が課せられます。 ▼義務(以下のいずれか) ①定年制の廃止 ②65歳まで定年延長 ③65歳までの継続雇用 ▼努力義務 ・70歳まで定年延長 ・70歳までの継続雇用など 数年前から移行措置が行われていた、今回の制度改正。背景には、政府・企業・個人それぞれの希望の合致がありました。個人は「収入・健康」、政府は「社会保障費の圧縮・孤独化の予防」、企業は「人手不足解消」のため、60歳定年を過ぎても働きたい、働いてほしいという理由からだといいます。
残ってほしいシニアは高賃金でも そうでない人は低賃金の再雇用でリセット!?
厚生労働省の調査によりますと、65歳までの雇用確保措置の実施状況は全企業の3.9%は定年制の廃止、28.7%は定年の延長、67.4%は継続雇用制度の導入を行っていて、再雇用に偏っていることがわかります。 その理由は、次のような企業の現実的な本音にありました。それは「シニアで残って欲しい人には高賃金でも確保したい。一方で、そうでない人は低賃金でリセットしたいため再雇用に」というもの・・・ 実際にカルビーはシニアの能力により差をつけ始めています。「カルビー・シニアマイスター」というシニア制度では“社内で右に出る者がいない高度な専門性を持つ人”には報酬は定年時の処遇を引き継ぐといいます。
実は学歴社会ではない日本 専門家「年齢関係なく早いキャリア判断を」
シニア雇用の問題は”実はシニア以前、現役世代の働き方問題”になっていると言います。 ①年齢主義(年功序列)・年上に気遣い・年齢で給与がアップ ②出世の判断遅すぎ・昇進のめど→42.5歳・引退を考える→45歳 出世できない人は引退まで20年 2つの要因から日本はいわゆる“使えない40~50代”が増加してしまっています。なぜかという専門家によりますと、実は日本の企業は学歴社会ではないからと言います。 日本は就職活動のときは学歴社会と言われますが、入ったら一度リセットされ、みんなに出世の可能性を残しています。一方海外は実力主義で修士・博士号などスペシャリスト優遇がされます。 こうした日本の傾向について専門家は、出世の判断が早いとやる気がなくなるため、出世判断が遅いのではと分析しています。そしていま、日本に必要なことは年齢に関係なく適切なフィードバックと早いキャリア判断(出世)だと指摘し、構造から変えなければ定年問題も解決しないのではないかといいます。