「大阪&京都がうらやましい」 奈良市をゲンナリさせる訪日外国人“昼だけ観光”問題! 夜はガラガラ、大仏もびっくりの状況だ
観光消費額は全国平均のほぼ半分
昼間にちょっと立ち寄るだけの観光地だと、単価が高い宿泊費や夜の飲食代が入らず、 「地元に落ちる金」 が少なくなる。奈良県の2021年観光客動態調査報告書によると、奈良県を訪れた観光客ひとり当たりの観光消費額は5308円。全国平均の9931円を大きく下回っている(53%)。 東向商店街の飲食店主は 「昼間は地元の常連が入店できないほど混むこともあるが、訪日客が夜までいてくれないと大してもうからない。大阪や京都の飲食店がうらやましい」 と肩を落としていた。 奈良市は奈良公園周辺で朝や夜のイベントを企画して観光客の滞在時間を増やそうとしている。春日大社境内でホルンの音色でシカを集める「鹿寄せ」、夏の夜にろうそくの灯りで古都を彩る「燈火会」、猿沢池のライトアップなど、多彩な催しが開催されてきた。奈良市観光戦略課は 「昼間に奈良公園へ立ち寄り、大阪や京都へ戻って夕食を楽しむ観光客が多い。宿泊施設の数がそろうまでは少しでも長い時間、奈良に滞在してもらえるようイベントを工夫したい」 と力を込めた。奈良は東大寺の大仏があるおかげで何もしなくても人が集まり、商売が成り立つことから、 「大仏商法」 とやゆされてきた。不足している宿泊施設がそろうまでには、まだ時間がかかる。大仏商法を脱却してインバウンドブームに乗る知恵と工夫が必要だ。
高田泰(フリージャーナリスト)