フレックスタイム制とは?フレックスタイム制のメリット、デメリットを解説
フレックスタイム制のメリット・デメリット
では、フレックスタイム制にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ紹介していきます。 ◆フレックスタイム制のメリット 働く側にとって最大のメリットは、ワークライフバランスが取りやすいことでしょう。 多様なバックグラウンドの人も働き続けられる 子育てや介護などの事情によって固定された出社時間では働き続けられない人でも、フレックスタイム制があれば、自分のスケジュールで働くことができます。 個人の生活スタイルやプライベートの予定を大切にできる 特定の事情がなくとも、「朝型/夜型のほうが集中しやすい」「通勤ラッシュは避けたい」など個人の生活スタイルや、「病院や銀行、郵便局に寄りたい」「どうしても見たいスポーツの試合や観劇、コンサートがある」などプライベートの予定も組みやすくなり、自由度が増します。 ◆フレックスタイム制のデメリット フレックスタイム制のデメリットについては、コロナの影響で急速に広まったリモートワークで生じた問題や懸念を参考に考えていきましょう。 言語ベースの情報共有が求められる フレックスタイム制もリモートワークも、一緒に働く仲間が「同じ時間帯に同じ空間を共有しない」点で共通しています。つまり、コミュニケーションが「非同期・非対面」になるということになります。 それにより、情報伝達において、「明確に言語化して伝えなければ伝わらない」状況が起こりやすくなります。マネージャーの言語能力がより問われるようになり、メンバーにも業務報告の伝達力が求められます。 メンタル不調に気づきにくい リモートワークが一気に浸透した際には、メンタルケアの問題も多く指摘されました。同じ空間で一緒に仕事をしていると、「今日は調子が悪そうだな」「いつもより表情が暗いな」といった些細な変化を周りも察知しやすくなりますが、非同期・非対面ではそれが難しくなります。 フレックスタイム制でも同様の問題が生じやすくなるため、企業側には1on1の機会設定やメンタルヘルスのサーベイ導入などが必要になるでしょう。 育成が難しい フレックスタイム制は、ある程度の知識や経験を持ち、自律して働けるプロフェッショナル人材によりマッチした働き方です。育成が必要な新人、若手人材にとっては、対面で教わるほうが学びやすいケースも多く、「フレックスタイム制を取るマネージャーと時間を合わせにくい」といった事態も起こるでしょう。 評価が難しい 非同期・非対面の評価では、プロセスよりもアウトプットが重視されやすくなります。評価者がプロセスを大事に見たいと考えていても、そのプロセス内容がきちんと伝達・共有されなければファクトが集まらず、評価ができません。 「すごく頑張っていたけれど、たまたま結果が出なかった」という場合でも、きちんとした情報共有の仕組みがなかったり、マネージャーとメンバー間での言語的なやりとりが不足していたりすると、評価が下がってしまうことになります。 創造的なアイデアが生まれにくい ほかにも、リモートワークが広がったコロナ禍では、「組織の創造性が高まらない」という指摘が多く出ました。決まった業務の情報共有や分業はスムーズに進んでも、新しいアイデアを生み出す上で、非同期・非対面にはデメリットがあるというものです。 フレックスタイム制においても、個人が好きな時間に働くこと(労働時間がずれること)で、異なる意見を自由に共有し合う空間を作りにくくなります。言葉にしにくい暗黙知の共有が難しくなることで、創造性が失われやすいと言えるかもしれません。