男子校・女子校はもはや不要か？ ジェンダー平等、男女共同参画が浸透するなか“共学化”の意味を考える

TOKYO MX（地上波9ch）朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」（毎週月～金曜6:59～）。8月23日（金）放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、埼玉県の公立高校の“共学化”について取り上げました。 ◆埼玉・男女別高校「共学化を推進」 県立高校の男子校・女子校を共学化するかどうか検討していた埼玉県教育委員会は、高校の3年間を男女が互いに協力し学校生活を送ることには意義があるとした上で「主体的に共学化を推進していく」との方針を示しました。 この問題は埼玉県の第三者機関が去年8月、県教育委員会に対し「共学化が早期に実現されるべきだ」と勧告。県教育委員会が約1年にわたって検討してきました。 共学を巡っては、社会にジェンダー平等や男女共同参画の考え方が浸透するなか、埼玉県内では生徒や関係者の間で賛否が割れていました。県教育委員会は今後もアンケートや意見交換を実施するとしています。 ◆男子校・女子校の持つ意義とは？ この問題に対しては、「ものすごくいろいろな思いがある」と熱く語るコラムニストの河崎環さん。自身は女子校出身で、当時はさまざまな制限があったという経験から息子は共学に入れたことに触れつつ、その後イギリス・ロンドンに移住した際に「何もかも共学化すればいいわけじゃない」と思う出来事があったと振り返ります。 その当時、河崎さんの息子は何かと手がかかるということで受け入れてくれる共学の学校がなく、最終的に迎え入れてくれたのは、ロンドンの伝統的な男子校。そこの先生からは、「私たちは100年、150年もの間、男子を育ててきた、いわば男子のプロ。扱いにくい子どもをいかに育てるかは私たちに任せてほしい」と言われ、そのときに「男女別学の本当の趣旨はここだ！」と感じたそう。 そして、「（その学校の趣旨は）お坊ちゃん・お嬢様であるとか進学実績でなく、発達の度合いによって適切な指導が年齢ごとにあるということだったと思う。（日本も）戦前などはそうで、それが高校レベルで今も残っていることがどこまで必要なのか。そこに進学実績なども絡め、（別学の）必要の有無が議論になっている」と河崎さんは現在の風潮を示唆します。 「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、男女別学議論の大きな論点として、教育内容の変化を指摘。「従来、女子校に関しては良妻賢母の教育をしていた。それが今の時代において変化し、キャリア教育にシフトしている。これはむしろ評価されていて、女性のリーダーが所与のものとしているという経験が好意的に評価されている」と言います。 一方、男子校は進学校と結びつきやすく、その結果として「ホモソーシャルな環境のなかで勉強することが一番、それ以外の規範的な意識、特に女性に対して差別的だったり、他者化する目線が増えてしまうということで男子校は批判の目を浴びている」と指摘。そして、「学校経営のなかでも共学を求める声が強く、社会的に共学の傾向に進んでいるが、そういった特性や前提を把握しながら議論することが大事」と私見を述べます。 ここでキャスターの堀潤が、お茶の水女子大学が今年4月から“共創工学部”を新設し、新たな教育の方向性を提示したことを挙げると、石田さんは「例えば、女性はいわゆる理系にあまり進まないと言われていた。しかし、女性の枠を設け、その分野を重点的に学ぶというアプローチも可能で、そうしたところでは別学の意義は大きい」と返答します。 また、キャスターの豊崎由里絵は「共学にしてしまうほうが無難かもしれないが、OB・OGの意見や経営的な視点ではなく、まずは子どもたちがどう思っているのか。（在校生が）なぜその学校を選んだのか、丁寧に聞いてほしい」と何より当事者の意見に真摯に耳を傾けることを求めます。 株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんも「ここ数年の教育問題の意思決定を見ていると、当事者がいたらそんなことはしない、そんな議論にはならないといったことが多い。形だけ若者の声を聞くのではなく、本当に若者の声を拾った教育政策をやってほしい」と切望していました。