震災で壊滅、宮城の養殖銀ザケ「再生」のゆくえ
震災後、変わる流通構造
水産庁の補助金の目的である「早期再開」と「生産量の回復」は進みつつある。しかし養殖業の安定には依然として厳しい状況だ。 地元の水産業者は「震災後、流通構造が変わった」と話す。チリ産より国内産は一般的に高い。しかし昨年、チリ産がスーパーなどに多く流通し、安価になった国内産が格下の加工品に回る「逆転現象」も起きたという。また、一部の業者が安値で契約した影響で、全体の相場が低くとどまる傾向もあったという。 水揚げの受け皿となる加工業者は「変革」への意欲を示す。銀ザケ養殖再開にあわせて昨年4月に工場を再建した、ヤマホンベイフーズ(宮城県女川町)の山本丈晴専務は「養殖は飼料代など費用がかかる。競りでなく、費用に見合った価格で漁師と相対取引を増やしていくべき」と話す。別の加工業者は「スーパーとの取引のみだったり、漁師も市場に卸すだけでは生き残れない。消費者と直接つながる必要がある」とネット通販への関心を示した。