育休から戻ったら「降格」「減給」に…会社からは「人事権があるから」という説明だけ。違法ですよね?
育児休業は国の制度ですので、条件を満たしていれば、女性だけではなく男性も取得できます。しかし、育児休業明けの会社の待遇に対して、納得のいかない思いをしている人も少なくないでしょう。 本記事では、育児休業を理由とした降格や減給は違法なのかどうかについて、「不利益な取り扱い」と判断するポイントとともにご紹介します。
育児休業を理由とした降格・減給は違法なのか?
育児・介護休業法第10条には「育児休業を申請したり取得したりしたことを理由として、労働者に不利益な取り扱いをしてはならない」と定められています。 「不利益な取り扱い」の例には、以下のようなものがあります。 ●解雇する ●期間を定めて雇用されている労働者の契約を更新しない ●あらかじめ明示されている契約更新回数の上限を引き下げる ●自宅待機させる ●降格させる ●減給する ●不利益な評価を行う ●不利益な配置変更を行う など つまり、育児休業を理由とした降格や減給は「育児・介護休業法違反」に該当します。 労働者の採用・異動・昇進・解雇などを決定する権利である「人事権」を会社が持っていても、こんなふうには行使できないと考えてよいでしょう。
「育児休業を理由としているか」の判断ポイントは?
降格・減給などの不利益な取り扱いが、育児休業を理由として行われているかどうかが重要なポイントです。 まず、育児休業が終了してから1年以内に不利益な取り扱いが行われた場合は、育児休業と不利益な取り扱いの間に「因果関係がある」とみなされて、違法と判断される可能性があります。 ただし、業務上で不利益な取り扱いをせざるを得ず、その結果により生じる影響よりも、業務上の必要性のほうが上回る場合は例外です。 また、労働者がこの取り扱いに同意しており、かつ、一般的な労働者なら同意するような合理的な理由が存在する場合も、違法とは認められない可能性があります。
不利益な待遇をされた場合の対処法は?
育児休業を理由に、降格や減給などの不利益な取り扱いを受けた場合は、すぐに会社の人事部などに相談しましょう。 もし社内で相談することが難しいようならば、全国47都道府県に設置されている「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」への相談をおすすめします。 厚生労働省のホームページに、所在地一覧が掲載されていますので、チェックしておくとよいでしょう。