「介護離職」は不幸なのか? 40歳からのセカンドキャリアを考える
わたしは、介護離職を2回経験しています。積み木のようにキャリアを積み重ねてきたのに、それを一瞬のうちに崩してしまったわたしに、「大変ですね」と声をかける人は多いです。しかし、自分が積み重ねてきたキャリアが崩れないよう、必死に守っている会社員の方々も同じくらい大変だと思います。 【連載】病院では教えてくれない 認知症でもWin-Win介護 今回は介護と仕事の両立、話題になっている副業、40歳からのセカンドキャリアについてお話します。
1度目の介護離職は34歳、2度目は40歳
岩手にいる父が脳梗塞で倒れたのは、わたしが34歳のときでした。当時、東京で働いていたのですが、慌てて帰省しました。脳梗塞の影響で、手で自分の鼻を触ろうにもすり抜ける、手が震えて字が書けない父の姿に、自分の未来が閉ざされ、人生が終わったと思いました。 家出していた父は独居だったので、わたしが介護するつもりでした。しかし、すぐ病院へ行ったこと、リハビリを真剣に頑張ったことで、軽い言語障害以外の後遺症はありませんでした。経過を見守ったあと、1年5カ月後に正社員として再就職できました。介護離職後の再就職の大変さや、収入が激減した生活を体感できたことは、大きな収穫でした。 2度目の介護離職は40歳のときで、祖母の子宮頸がんと母の認知症が同時に見つかりました。転職してわずか9カ月目の出来事でしたが、余命半年と宣告された祖母の入院、母の介護サービスの整備など、介護者としてやるべきことを淡々とこなしました。介護休業について調べたのですが、マネージャーという立場や仕事の忙しさから、介護との両立は難しいと考え、決意をもって会社を辞めました。 2017年1月1日より、新しい介護休業法が施行されました。要介護の家族1人につき、原則1回93日休業できたものが、3回まで分割が可能になりました。また、介護休暇を半日単位で取得可能になりました。政府が「介護離職ゼロ」を目標に掲げたこともあって、企業独自の介護休業制度も整備され始めました。 こういった制度は活用すべきですが、わたしのように1年勤務してない場合、利用できないこともあります。また、制度以上に上司や部署の理解が大切で、介護で休んだときのサポート体制、業務負荷の軽減が必要です。