岩国基地付近の水域でPFAS指針値超え 岩国市が独自の水質調査へ 年内に基地周辺の複数地点 山口県
米軍と海上自衛隊が共同で使う岩国基地(山口県岩国市)付近の水域で、民間団体の調査で国の暫定指針値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたことなどを踏まえ、岩国市は20日、市独自で水質調査をすると明らかにした。年内をめどに複数地点で実施する考え。市が基地周辺でPFASの調査をするのは初めて。 岩国市が調査を検討する地点の地図 市は基地北側の今津川河口付近と基地沖合での調査を想定。両地点は2019~21年度に環境省と山口県が調査した場所で、当時はいずれも国の暫定指針値を下回った。さらに今津川上流部などでも実施を検討する。 今年に入り、米国の平和団体による今津川河口での調査で、暫定指針値の1リットル当たり50ナノグラムを超える同89・3ナノグラムのPFAS対象物質が検出された。同市の市民団体がその近くの遊水池で実施した調査では同175・6ナノグラムを検出した。 こうした動きを踏まえ、市は10月に県へ調査を要望。県は今月19日、市に「来年度に向けて調査の必要性を検討する」と回答した。福田良彦市長は20日の記者会見で「(県は)するのかしないのか分からない。市民の不安を解消するため市で調査する」と述べた。 市民団体は汚染源が基地内の可能性が高いと指摘する。これに対し、市は周辺海域や市民生活への影響を調べるのが調査の目的とし、「排出源を特定するためではない」としている。福田市長は記者会見で、基地側に調査の協力を求めるかどうかは明言しなかった。
中国新聞社