野球部監督はユーチューバー 広島県の上下高 生徒減少に悩む学校を盛り上げ「甲子園目指す」
広島県府中市上下町の上下高野球部の監督に、元高校球児でユーチューバーの瀬尾勇登さん(32)が就いた。瀬尾さんは上下町内の小中学校を卒業。生徒数確保に悩む同高を盛り上げようと広島市からUターンした。 瀬尾さんは上下中を卒業後、盈進高(同県福山市)に入学。野球部では内野手のレギュラーとして公式戦に出場した。プロ野球選手を目指して大学進学後も野球を続け、広島東洋カープの入団テストも受けたという。 プロ入りはかなわなかったが、2017年からユーチューバーとして動画投稿をスタート。マツダスタジアムなどに通いカープの選手やファンとの交流などを配信してきた。 監督就任のきっかけは23年夏、上下高の野球部を指導する田辺健二郎さん(72)からの電話。小学生の頃に少年野球チームで田辺さんから指導を受け、その後も交流を続けていた。ユーチューバーの発信力を生かし、生徒の減少が課題となっている同高を盛り上げてほしいと頼まれたという。 「プロ野球選手になれないなら、指導者として甲子園を目指したいと思っていた。いい機会を頂いた」と瀬尾さん。同高の同窓会、卒業生や保護者たちでつくる「上下高等学校200年の会」の会合に出向くなどして理解を求め、1月に監督に就任した。 現在の野球部員は5人。昨夏の全国高校野球選手権広島大会は3校で連合チームを組み、初戦で敗退した。当面の目標は単独チームでプレーできる9人を確保し、甲子園出場などを目指す。瀬尾さんは「データを重視して一人一人に合った指導をしたい。部員が楽しく学校で過ごし、練習する様子を発信したい」と力を込める。 板崎晃次校長は「野球部を支える人が出てきてくれてうれしい。地域と学校の架け橋になってもらいたい」と期待した。
中国新聞社