尾上松也「一生忘れない」拍手、演出初挑戦の新作歌舞伎「刀剣乱舞」大盛況
尾上松也(39)が演出に初挑戦し、昨年7月に東京・新橋演舞場で上演された新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)」がシネマ歌舞伎として全国の映画館で公開されている。8台のカメラで役者の汗、涙、息づかいまで記録。鮮明な映像と高品質な音響で、生の舞台そのままの臨場感を実現した。 * * * * 昨年7月に上演された「刀剣乱舞―」は連日、大盛況で早くもシネマ歌舞伎化が決まった。演出に初挑戦した松也は「長く鳴りやまなかった盛大な拍手は、一生忘れないでしょう。伝えたかった思いが通じて、うれしかった」と胸を張る。 「お客さまとの距離を近づけることが、歌舞伎の将来にとって大事になる」という思いで、終演後には歌舞伎では異例のカーテンコールを実施した。観客による撮影をOKにして「SNSに投稿してください」と呼びかけた。それが宣伝効果を発揮。とうかぶ(刀剣乱舞歌舞伎の略称)旋風を巻き起こし、リピーターも続出した。 企画段階から参加した意欲作。開幕前には「義太夫や邦楽器、ツケや歌舞伎の型を用いた立ち回りなど、皆さんが想像するような王道の歌舞伎のテイストをふんだんに盛り込みたいと思っています」と語っていた。刀剣男子たちの登場は「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」で5人の盗賊が七五調のリズムで自分の因果を語る場面を思わせ、髭切(中村莟玉)、膝丸(上村吉太朗)兄弟は敵討ちでおなじみの曽我兄弟を想起させた。 音楽にもこだわり、稽古の段階から「期待値を上回る音楽が来ちゃった」と感極まり、号泣したという松也。シネマ歌舞伎については「歌舞伎の客席からだと見えないくらい細かいところまで、こだわって作り上げたので、そのディテールや表情まで見ていただきたい」とアピールした。 ◆「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」 審神者(さにわ)と呼ばれるプレーヤーが刀剣の付喪神(つくもがみ)である刀剣男子を成長させ、歴史改変をたくらむ時間遡行(そこう)軍との戦いに挑むゲーム「刀剣乱舞 ONLINE」の歌舞伎版。室町時代後期を舞台に三日月宗近(松也)ら六振りが、足利義輝(右近)、松永弾正(梅玉)らと交錯しながら歴史を守る戦いに身を投じる。
報知新聞社