「仕事デキない東大生」学歴のために犠牲にした事 社会人として身に付けたい「大事な3つの要素」
実際、小学3年生のときから中学受験のために週5で塾に通い、中高6年間も学校からの膨大な宿題を終わらせるために1日3時間・休日は9時間勉強。 高校2年生の3学期からは「今からは高校3年生の0学期だ! 受験生として、ひたすら勉強しろ!」と言われ、睡眠時間を削り、移動の時間やトイレや風呂・食事の時間、スマホでも勉強に励み、もしそれでうまくいかなかったらもう1年間ひたすら勉強する浪人生活を送る。このように、さまざまな青春や、社会経験をせずに、その結果として高学歴を得ている人もいるのです。
「専門家としての能力」を得るために、部活をしたり友達と遊んだりして得られるはずの、ちょっとした対人スキルやコミュニケーション能力を得る機会があまりなかった、つまり②の労働者としての能力と③の同僚としての能力を、対価として捨ててしまった人たちもいるように思います。 ギャンブル漫画の『賭博破戒録カイジ』では、「人は金を得るために命を削っている」という有名なセリフがありますが、それと同じ理屈で、「高学歴は、学歴を得るために命を削っている」わけです。
先ほどの上司の連絡に、話を戻しましょう。Aの文面は、学生時代に部活をやっていた人だったら送らないと思いますが、そういう機会がなくすごしてきたら、仕方がない面もあります。 「勉強ではうまくいっていたのに、社会に出てから全然うまくいかない」と高学歴の人自身も考えることが多いですが、それは単純に、勉強の場と会社では求められているスキルが違っているからです。 高学歴で「労働者としての能力」「同僚としての能力」があまり高くない人は、本人の問題というより、機会がなかったから学べなかったのでしょう。
■労働者・同僚としての能力を身に付ける 重要なのは、これから、②労働者としての能力、③同僚としての能力を身に付けてもらうような指導をすることです。 初めから「労働者としての能力」「同僚としての能力」が完璧な人はなかなかいません。 高学歴の彼ら・彼女たちが「専門家としての能力」のスキルを努力で身に付けたとおり、努力で「労働者としての能力」「同僚としての能力」も身に付けてもらう必要があります。 もし職場で高学歴なのに、なかなか仕事ができない部下を抱えている場合でも、きっと大丈夫です。彼ら・彼女たちは、これまでその能力を得る機会を別のところに当ててしまっていただけで、これから伸びる人たちです。
むしろ高学歴の人は、学ぶ能力自体は高いので、スキルとして身に付けていけば、仕事をするうえでも、高い能力を得ることができるようになります。最初こそ「東大生なのに……」と思うかもしれませんが、きちんと指導すれば、きっと学んでいけるはずです。
西岡 壱誠 :現役東大生・ドラゴン桜2編集担当