ホロライブ・星街すいせいが初ツアーで問いかけるリアルとバーチャルの境界線「私、ここにいるよね」
VTuberグループ「ホロライブ」の星街すいせいが初のライブツアー「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 "Spectra of Nova"」を実施。その埼玉公演が2024年11月14日に埼玉スーパーアリーナで開催された。 【写真を見る】新曲「AWAKE」を初公開した星街すいせい ホロライブ0期生の星街すいせいは、VTuber黎明期の2018年に個人勢として活動を開始した後、2019年にホロライブに加入。活動初期から抜群の歌唱力で"歌姫"としての存在感を示し続けている。近年では、2023年の「THE FIRST TAKE」出演、2024年のオリジナルMV「ビビデバ」の1億回再生突破なども大きな注目を浴びた。 当日、開演前の場内アナウンスは星街本人が担当し、このサプライズに観客席が沸き上がる中、ライブが開幕した。オープニングはハイテンポかつアグレッシブな「駆けろ」「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」の2曲で、星街のパンチのある歌声が会場の空気感を一気に制圧する。3曲目はGiga & TeddyLoidによる書き下ろしの新曲で、ライブ当日の24時にリリースされる「AWAKE」を一足早く披露。続くMCパートで星街が「頭3曲からぶち上がり、過ぎじゃないですか!?」と叫んだように、熱くエネルギッシュな幕開けとなった。 トークでは「彗星のごとく現われたスターの原石、バーチャルアイドルの星街すいせいです!」というおなじみのフレーズで挨拶。"星詠み"のファンネームで呼ばれる客席のファンたちと、これも定番となっている「すいちゃんは~?」「今日もかわいい~!」の掛け合いをしながらニコニコの笑顔を浮かべ、「楽しいですね、やはりライブというものは。初のライブツアー、初日はさいたまスーパーアリーナ、デカい!」と充実感いっぱいの様子を見せる。また、数時間後に控えた「AWAKE」のプレミア公開に先駆けて、星街自身がスマホを操作しながらその待機所をリアルタイムで設置する場面もあった。 4曲目の「Je t'aime」と5曲目の「Starry Jet」は1stソロライブの衣装にチェンジ。「Je t'aime」ではジャジーなサウンドとともに、ロングヘアをしなやかに揺らすダンスで観客を魅了。「Starry Jet」は一転してアイドルらしさいっぱいのハジけたムードで、星街がステージ上を大きく動き回り会場を盛り上げていく。途中、星街からの「クラップ、真似っこ~!」の掛け声に合わせて、観客たちが一体となって手拍子を響かせていた。 続く「GET THE CROWN」には「Hoshimatic_Project」のメンバーでもあるホロメンたちがゲスト出演。ときのそら、アキ・ローゼンタール、夏色まつり、大空スバル、常闇トワ、桃鈴ねね、博衣こより、風真いろはが星街とともにステージに立ち、全員で息の合った歌声とフォーメーションダンスを披露した。 その後、暗転した場内に鳴ったのは和テイストのサウンド。2ndソロライブ衣装にチェンジした星街が和傘を持ったバックダンサーを従えて登場し、切なくも激しい情感を湛えながら「みちづれ」を歌い上げる。さらにバンドメンバーの紹介を挟みつつ、伸びやかなボーカルが際立つ「TEMPLATE」、Kanariaと歌う原曲を星街のソロボーカルにアレンジした「ネバーフィクション」へと続いていく。 ライブは後半戦に入り、アニメーション映画「トラペジウム」主題歌で音楽プロジェクト「MAISONdes」から生まれた「なんもない feat. 星街すいせい, sakuma.」、本記事の冒頭でも触れたスマッシュヒット「ビビデバ」を披露。「ビビデバ」の曲中には、魔法のような演出とともに歌いながら衣装&ヘアスタイルをチェンジ。このライブツアーのキービジュアルと同じ装いに星街が変身すると、場内から大歓声が上がった。また、「Bibbidi bobbidi boowa、せーの!」と煽る星街の声に合わせて、会場内も配信コメント欄も一緒に「びびでばびでぶーわ!」の大合唱が巻き起こっていたのも印象深い。 「ビビデバ」のコール&レスポンスで熱を帯びた場内だったが、一転して静寂が訪れると星街はアカペラで「Andromeda」を歌い出す。静かに始まった同曲だが、バックサウンドに乗せたサビ部分では感情をたっぷりと込めた歌声を聞かせ、星街の持ち味でもあるダイナミックな歌唱力を感じさせる一曲となった。 続いて「放送室」「ムーンライト」を歌う星街。「ムーンライト」は、頭上に浮かぶ月が足元の水面に映る、という美しいステージセットが出現。そこに星街の静かに語りかけるようなボーカルがゆったりと響き、心地よいチルアウトなムードが場内に漂う。 ライブ本編の最後の2曲は「GHOST」と「ソワレ」。歌う前のMCパートでは「GHOST」の曲紹介をしつつ、自らの思いを吐露。「VTuber、バーチャルという文化は成長途中じゃないですか。私たち一人一人が一生懸命頑張ってきましたけど、存在が曖昧というか、よくわかんないとか揶揄されたりする。でも、私はこのお仕事に誇りを持って頑張ってる。みんなもついてきてくれてる。ありがとう。ここにいるのに、まるでいないみたいな、そんな苦悩を込めた曲になります。みんな私見えてますよね? 見えてるよね? 私、ここにいるよね?」と星街が問いかけると、観客席は大きな声援でそれに応える。そんな思いを込めた「GHOST」に続いて、ナナホシ管弦楽団が提供した人気ナンバー「ソワレ」を星街は満面の笑顔で歌い、ライブ本編を終えた。 アンコール曲は、どちらも星街の代表曲となっている「天球、彗星は夜を跨いで」と「Stellar Stellar」の2曲。2019年発表の「天球、彗星は夜を跨いで」は活動1周年記念のオリジナル楽曲で、作詞・作曲・編曲を手掛けたのは当時まだブレイク前のキタニタツヤ。星街がまだ事務所に所属していない個人勢だった時期の名曲として知られている名曲だ。また、「THE FIRST TAKE」でも話題となった2021年発表の「Stellar Stellar」は、作曲・編曲をTAKU INOUE、作詞を星街が担当。今では星街の"名刺代わり"あるいは"代名詞"と呼べる楽曲でもある。 本公演の最終曲となった「Stellar Stellar」の歌い出し、「だって僕は星だから」という星街の声が響いた瞬間、この日一番の大歓声が、この日一番のカタルシスが、会場を包み込んだ。圧倒的な歌唱力で代表曲の「Stellar Stellar」を聴かせた星街は、歌い終えると「めっちゃめっちゃめっちゃ楽しかった~!」と満足げな笑顔を見せ、この日の公演は幕を下ろした。 なお、「Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 "Spectra of Nova"」は今後、大阪と福岡で開催予定。ツアー日程は、おおきにアリーナ舞洲での大阪公演は12月10日(火)、福岡サンパレスでの福岡公演は12月28日(土)となっている。大阪公演と福岡公演それぞれの単日チケット、および今回実施済みの埼玉公演を含む3公演通し券が発売中。埼玉公演は12月14日(土)20:00までアーカイブ配信が行なわれる。 取材・文=editaholic ⒞ 2016 COVER Corp.
HOMINIS
【関連記事】
- 初の4大ドームツアーも期待を集めるBE:FIRST、ライブドキュメンタリー映画「BE:the ONE -MEANT TO BE-」で明かされた大舞台・東京ドーム公演初日の裏側と成長のあゆみ
- HARUAの演技力やTAKIのミセスオタクな一面も!「M:ZINE」が深掘りする&TEAMの多彩な魅力
- アイナ・ジ・エンドが最新アルバムに込められた思いを語る「私の宝石たちをギュッと1枚のアルバムにまとめました」
- アニメ「ガルクラ」の劇中バンド・トゲナシトゲアリが3rd ワンマンライブで伝えた気持ち「この先、みんなと一緒に歩んでいきたいと思っています」
- SKY-HIとBE:FIRSTが観客を魅了!Travis Japan、.ENDRECHERI.ら多彩なアーティストが顔を合わせた「テレビ朝日ドリームフェスティバル2024」