韓国の選挙特番、絶えぬ苦労 候補者、CG映像や映画の名シーンに合成も ソウルからヨボセヨ
4月の韓国総選挙で韓国のテレビ記者団体から選挙特番について特派員の目から論評してほしいとの依頼があり、各局の特番をじっくり見比べてみた。多くの局が投票日の午後から翌日未明まで特番を流し続ける力の入れ方にまず驚いた。 与野党候補の顔をドラマや映画の名シーンの登場人物と合成し、候補がコミカルに競り合うコンピューターグラフィックス(CG)映像を得意とする局もあり、「面白い」と視聴者に好評だ。一方でちゃかすような演出に候補本人は抗議しないのかと心配になる。 日本の選挙特番との大きな違いにも気づいた。日本では開票早々に各局が出口調査や独自の票読みで「当選確実」を速報すると、各候補もそれに合わせて万歳三唱したり、当選や敗戦の弁を述べたりする。1秒でも早く「当確」を決めるこうした慣習が韓国では根づいていないようだ。 深夜・未明まで当選確実者の生の声はなかなか流れない。手の込んだCG映像はむしろ空白の時間を埋める苦肉の策といえそうだ。 投票締め切り直後に出口調査に基づく議席予想を報じるのは日韓共通だが、今回、実際の結果とは開きが出た。期日前投票をする有権者が増え、日本でも議席予測が外れるケースが起きている。日韓ともに選挙特番を巡る苦労は絶えない。(桜井紀雄)