食品ロスをマインドセット転換とデジタル活用で防げ
マインドセットの転換がなぜ大事なのか まずは、本サイトで食品ロス問題を取り上げたからには、デジタル技術の活用を強く訴求したい。食品ロス削減に向けたソリューションは、富士通、NEC、日立製作所などのITサービス事業者が食品関連事業者や流通・小売事業者と協力して推進しているが、最新のIoTやAIの技術を活用すれば、もっと効果を上げられるはずだ。 具体例として、NECの「需給最適化プラットフォーム」を紹介しておこう。同社では「食品ロスは、生産、加工、物流、小売、消費のバリューチェーンの各段階で発生する。その原因の一つが、需要と供給のミスマッチだ」として、同ソリューションによってバリューチェーン全体の課題を解決し、食品ロスの削減に貢献すべく注力している。図3は、食品ロス対策のポイントを挙げたものである。 同ソリューションでは、同社のAI「異種混合学習技術」を活用。多種多様なデータの中から精度の高い規則性を自動的に発見し、その規則に基づいて状況に応じた最適な予測を行うことができる。このAI技術により、「販売動向に影響を与える気象情報や販売実績などのさまざまなデータやノウハウを組み合わせて解析することで、需要予測の精度向上を実現する」としている。 こうした最新のAIを活用したNECの需給最適化プラットフォームは、食品メーカーの在庫・生産の最適化、食品卸・物流の在庫の最適化やリソースの効率化、食品小売の発注の最適化を実現。「食のバリューチェーン全体で需要と供給を最適化し、過剰な生産、期限切れによる返品、過剰な在庫、売れ残りといったさまざまな課題を解決し、食品ロス削減と共に企業の収益向上を支援する」というのがセールスポイントだ(図4)。 そして、もう1つ訴求したいのは、マインドセットの転換だ。すなわち、「食べもののムダをなくそう」と誰もが強く意識することだ。この言葉は消費者庁もそのままプロジェクト名に使用している。このマインドセットの転換は、食品ロス問題に立ち向かうための最も重要な原動力となる。 さらに「ムダをなくそう」というマインドセットは、消費スタイル全体に大きな影響をもたらす原動力になるだろう。そのパワーが、私たちが今問われている「経済成長とサステナビリティーのバランスをどう取っていくか」の新たなエネルギーとなり知恵になるのではないか。いや、そういう方向に世の中を動かしていかないと、人類が、地球が危なくなるのではないか。 今回取り上げた食品ロス問題は、そうした大きな見方で立ち向かっていきたい。