『光る君へ』金田哲×町田啓太×渡辺大知、尊さが増す“平安F4”たちに夢中
NHK大河ドラマ『光る君へ』で描かれるのは、平安貴族の雅な世界。藤原斉信を演じる金田哲は、幼なじみでいつも一緒にいる仲良し4人組を「平安(の藤原)F4」と名づけたが、物語が進むにつれ「平安F4」のメンバーそれぞれの個性が発揮される場面が注目され、SNSでも話題になっている。 【写真】あまりに美しい、藤原公任(町田啓太)の演奏姿 金田哲(藤原斉信役) 権力の中心にいながらも飄々としてマイペースな藤原道長(柄本佑)に対して、どうにか出世したいと素直にアピールするのが斉信。恋愛に関しても分かりやすいタイプで、漢詩の会で出会った勝気なききょう(ファーストサマーウイカ)に興味津々でかなり気になっていたようだ。 金田哲は本作が大河ドラマ初出演になるが、NHKの人気ドラマ『アシガール』では天野小平太役、『正直不動産』では小室晃弘役で出演。映画『私の優しくない先輩』では、第2回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞している。2021年公開の映画『燃えよ剣』の藤堂平助役、2022年公開の映画『ヘルドックス』の三神國也役と時代もの、現代もの問わず自在に存在感を発揮している。 お笑いコンビ「はんにゃ.」としての顔と、俳優としての顔を持っている金田だが、それにしても色白なうえに美肌がつやつやしていて、貴族の装束もよく似合う。「周囲の人からは「平安にいそうな顔」と言われる」と公式ドラマガイドにもあり、本人も「平安とは深い縁があるように思えてなりません」と言っているが、金田哲以外に考えられないほど、この藤原斉信は彼にハマっている。 町田啓太(藤原公任役) ハマっているといえば、藤原公任役の町田啓太も素晴らしい。由緒正しい平安の貴公子、見目麗しいだけでなく和歌、漢詩、音曲にも秀でた完璧な公任は、存在そのものが尊いとネットでも話題。「平安F4」の中でもことさら強い光を放っている。 公任の父は関白で、自分が出世するのは当然だと思い、期待を受けて育ってきた公任。ちょっと強気な発言をしたり、大胆なことを言うものの、上品なので嫌味に聞こえない。 たとえば、第7回「おかしきことこそ」で公任らが打毬の試合をして、まひろ(吉高由里子)や源倫子(黒木華)、ききょうらが観戦した場面があった。試合の後、倫子の愛猫の小麻呂が逃げ出し、探していたまひろは雨の中で公任と斉信が姫たちを品定めする会話を聞いてしまった。平安時代も現代も、思春期は恋愛話で盛り上がったり傷付いたり、感情の起伏が激しくなるもの。 文学も音楽も思う存分才能を発揮した公任の表現力にして、今後彼がどんな成長を見せてくれるのか気になるところだ。町田は大河ドラマには『西郷どん』の小松帯刀役、『青天を衝け』の土方歳三役で出演。本作の藤原公任役で平安貴族の雅さ、艶やかさを見せつけてくれている。 渡辺大知(藤原行成役) そして「平安F4」の仲よし4人組では最年少。道長と公任の6歳年下の藤原行成を演じるのは渡辺大知だ。能書家として高く評価されるもの静かな行成を渡辺は物腰柔らか、穏やかに演じている。 彼の登場で印象的なのは道長と2人のシーン。第10回「月夜の陰謀」で道長は行成に相談した。行成の答えというのが、「女子に和歌を送ったら漢詩が返ってきた。どういう意味なのか」悩む道長に「そもそも和歌は人の心を見るもの、聞くものに託して言葉で表しています。翻って、漢詩は志を言葉に表しております。つまり、漢詩を送るということは送り手は何らかの志を詩に託しているのではないでしょうか」というもの。 年下でも落ち着いて思慮深い行成のことを道長は信頼していて、行成もまた憧れ以上の、特別な思いを道長に抱いているようで今後の2人の関係の変化も気になる。 ミュージシャンであり、俳優としても多才な渡辺は、大河ドラマは『いだてん~東京オリムピック噺~』の森繁久彌役、『青天を衝け』の徳川家定役に出演。年上で出世街道まっしぐらの幼なじみの中にいて、まだ自分を出していない行成が、それぞれの変化の中でどんな成長を見せていくのか、そこも見どころだ。
池沢奈々見