トランプ詣での日本だけじゃない、次期外相の人選を変える国まで 世界各国が「トランプ2.0」に備え
トランプ前米大統領が11月の選挙で政権に復帰する可能性がある。米国の同盟国はいたるところで、そのような事態に備えている。 トランプ詣でをする日本から、共和党のトランプ支持層にアプローチするドイツまで、各国は国益を守るため、あるいは前進させるため様々な手を講じている。ロイターは5大陸の外交官や政府高官に「トランプ2.0」への備えについて尋ねた。主なものを紹介しよう。 <日本> 米国にとってアジアにおける最も近い同盟国である日本は、複数の政府高官によるとトランプ氏が保護貿易を復活させ、在日米軍の駐留経費負担の増額を求めてくるのではないかと警戒している。 日本政府はトランプ陣営との外交関係を強化するため、高尾直氏の派遣を準備している。ハーバード大学で学び通訳もこなす高尾氏は、故安倍元首相がゴルフを通じてトランプ氏との関係を築くのを手助けした。 また麻生太郎元首相も最近、ニューヨークでトランプ氏と会談した。 トランプ前大統領 「私たちは互いを知り、お互いを気に入っている。これから日米について、そして他の多くのことについても話す」 <メキシコ> メキシコでは、政府高官がトランプ氏に近い人物と会談し、移民問題や米国へのフェンタニル密輸などの問題を話し合っている。トランプ氏が政権に復帰すればメキシコはこれらの問題で、米国からの圧力にさらされる可能性がある。トランプ氏は国防総省に対し、麻薬カルテルを攻撃するよう命令を出すと公言している。 「われわれの国境は開いたまま流血している傷口だ」 また関係筋によればメキシコの与党は、トランプ氏が返り咲くかどうかで次期外相の候補を決めることを検討しているという。トランプ政権下において個人的な関係がいかに重要かを示す一例と言えよう。 <ドイツ> ドイツは州レベルで、共和党のトランプ支持層との関係を築いている。 トランプ氏が在任中にドイツの自動車産業に厳しい関税をかけると脅したことを念頭に、独政府は大西洋を横断する調整官を起用して「トランプ2.0」に備えている。 この調整官を務めるミヒャエル・リンク氏は米全土を横断し、ドイツが多額の投資を行っている激戦州を訪れている。 <オーストラリア> 水面下で行動しているのが豪州だ。ある外交筋によると豪州は、トランプ氏に重要な防衛協定を破棄されないよう腐心しているという。 バイデン政権は、豪州の原子力潜水艦艦隊を創設を支援するため、3―5隻の攻撃型潜水艦を売却することで合意した。豪州のラッド駐米大使は、防衛法制の早期制定を本国に働きかけている。トランプ氏が合意を覆すことを困難にする狙いだ。 この件について豪大使館はコメントを拒否した。豪政府にもコメントを求めたが、直ちに返答はなかった。ロイターはトランプ氏の見解を確認することはできなかった。