麻倉ケイト&ゆしん 近大でLGBT啓発イベント「悩みを知って欲しい」
大阪府と近畿大学(東大阪市)が連携し、このほど東大阪キャンパスでLGBT(性的マイノリテイ)啓発イベントがあった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、LGBTに対する人権問題について学生たちや市民にも身近に感じてもらおうと府の呼びかけで実施となったもの。体と心が一致しないトランスジェンダーの女優・歌手の麻倉ケイトさんと、エイベックス初のLGBTタレント・ゆしんさんがトークショーを行い、関西出身同士の2人は、当事者にしかわからない悩みや現在の心境などを披露した。 性同一性障害乗り越え 歌手・麻倉ケイトの生き方
大阪府として学生たちに対して啓発イベントを行ったのは初めて
このイベントは人権週間に連動した官学連携の人権啓発運動の一環で、同大学では官学連携の啓発イベントは初めて。会場には学生や市民ら約150人が集まり、熱心にトークショーに耳を傾けていた。 大阪府府民文化部の岡本圭司部長は、「大阪府として学生たちに対して啓発イベントを行ったのは初めて。府民向けにはこれまでも行っています。当事者が語る以上の重みはないでしょう。体験にもとづく話は貴重ですし、痛みを知っている人ですから、これからも続けていきたい。他の大学にも広げていきたい」と説明した。
麻倉ケイト「カミングアウト前は人に会うのも怖かった」
ゲストとして登場した麻倉ケイトさんは「カミングアウト前は自信がなく人に会うのも怖かった。でも、カミングアウト後は楽になり、周りの方の支えもあって、自分らしく生きていくことができるようになった。最近は海外に行く機会も増えましたが、海外では性別に関係なく個性や才能のほうが重要視されています」と話した。 一方、ゆしんさんはエイベックス初となる LGBT当事者のタレントとして、数々のバラエティ番組で活躍中だ。 「私は東大阪の出身です。小さい頃は男の子は男の子、女の子は女の子と言う区切りがありました。今はテレビの影響もありますが、LGBTは特別ではないという認識は高まっていると思う。はるな愛さんのような綺麗な女性もいれば、ミッツ・マングローブさんのような女装が趣味な方もいて、いろんな方がいる。私のようなこういう人もいるということを正直、理解して欲しいなと思います」と話した。 また「ただ、大阪に比べ、東京のほうがカミングアウトしやすい環境にあると思う。今後もLGBT 活動に積極的に取り組み、悩んでいる方々の力になれたらと思っています」と話した。 大阪府では、人権問題に関する意識醸成を図る啓発活動に取り組んでおり、その一環で啓発ステッカーを制作。府内の大学へ配布することとなり、今回はそのテーブルステッカーのお披露目も兼ね会場には府の広報担当副知事「もずやん」も登場。同大学の図書スペースの一角には、学生の選書でLGBT関連図書コーナーも設置された。 (文責/フリーライター・北代靖典)