株安が強制的な売り引き起こすリスク-ウォール街のストラテジスト
(ブルームバーグ): 株式へのエクスポージャーは現在非常に高く、株安で投資家がロングポジションを減らし始めると、より大きな低迷が引き起こされる可能性が高いと、ウォール街のトップストラテジストらが指摘している。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によれば、投資家の株式投資は過去2年余りで最も高い水準にある。ゴールドマン・サックス・グループとシティグループのデータによれば、今年の記録的な上昇の後、ファンドが株式を買い続ける余地はほとんどないという。
S&P500種株価指数のロングポジションは520億ドル(約8兆円)相当で、その88%が損失を抱えている。シティのストラテジスト、クリス・モンタギュー氏はこの状況を市場のリスクと見なす。
「相場がマイナスに転じた場合、既に損失を抱えている大量のロングポジションがあるために、下落の動きがより速く、より大きくなる可能性がある」と同氏はリポートで指摘した。
投資家の強気ポジションへの警告は、米金利上昇への懸念、中国経済の勢い鈍化の兆候、中東情勢の緊迫が世界的な株安をあおっている中で発せられている。
16日はS&P500種が2月以来の安値となり、ストックス欧州600指数は昨年7月以来の大幅安となった。
ゴールドマンのトレーディングデスクが発表したデータによると、商品投資顧問業者(CTA、先物取引をシステム戦略で行うファンド)は、世界株に対して約1700億ドル相当の強気ポジションを持っている。
これらのファンドは、今週の下げで世界株式先物を290億ドル売却する必要があり、株価が下がり続ければ今後1カ月で2290億ドルもの売却が必要になる。この数字にはS&P500種先物の590億ドルが含まれる。
ゴールドマンのデリバティブ&フロー専門家、カレン・モーガン氏は15日のリポートで「CTAは来週から1カ月の間、あらゆるシナリオでS&P500種の売り手となる」との見通しを示した。