模索する「次の10年」 連綿と続く機雷掃海の歴史 対中スクランブルの負荷増大 「自衛隊70年の現在地(1)」
第1掃海隊司令の野間俊英1等海佐(50)は「どこまで機械に任せるべきか、最適解を模索している」と胸中を吐露しつつ、こうも言い切る。
「日本人特有のきめ細かさで技量は世界一と確信している。存在価値はある」
■無人機対応「まだ手付かず」
耳をつんざくような轟音とともにF15J戦闘機が一瞬で紺碧の空へと消えた。15秒の間隔を置いて計4機が飛び立っていった。尖閣諸島(沖縄県石垣市)から約400キロ離れた航空自衛隊那覇基地は南西諸島防衛の要だ。24時間、365日体制で待機するパイロットは、領空侵犯を警戒する緊急発進(スクランブル)の命令からわずか数分以内に離陸する。
「中国機が太平洋側まで出ている。スクランブルのときは基地内に緊張が走る」。第204飛行隊隊長付の山本智之2等空佐(41)はこう語る。防空識別圏(ADIZ)に入ってきた国籍不明の機体に近づき、国籍や飛行目的を確認するスクランブルは空自全体で昨年度669回に上った。このうち中国機が7割強を占める。
昨年5月には中国の無人機が日本最西端の与那国島と台湾の間を抜け、東シナ海から太平洋へ南下。従来の偵察型だけでなく、攻撃能力を有し、高高度を飛行できる無人機もある。
低コストの無人機を飛ばし、相手を消耗させる「コスト強要戦略」の一環との見方が強い。南西航空方面隊司令部防衛部長の奥田将善1等空佐(48)は「無人機は10時間以上飛行できるといわれるが、戦闘機は長時間飛べない。何回も反復して運用しなければならず、大きな負荷を強いられている」と明かす。
■大国間競争の時代に突入
昭和29年7月1日に発足した空自が、在日米軍から引き継ぐ形で対領空侵犯措置の任務を開始したのは33年2月だった。
米ソ冷戦の緊張が緩和した「デタント」を背景に51年に初めて策定された「防衛計画の大綱」(51大綱)では空自について、日本周辺の「ほぼ全空域」を常に警戒監視できる体制を目標に掲げた。そのために戦闘機部隊13個飛行隊と全国28カ所に固定式レーダーを配備し、この体制は半世紀近くを経た現在も維持されている。