【米大統領選2024】トランプ次期米大統領に続々と祝辞 イスラエルやイギリスなど各国首脳、NATOトップも
アメリカ大統領選の開票が進み、東部時間6日午前5時半(日本時間午後7時半)すぎ、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の再選が確実となった。ホワイトハウスへの歴史的な復帰を果たす。 トランプ次期大統領は午前2時半ごろ、支持者らを前に「勝利演説」をした。この演説後から、外国の首脳らが次々と、トランプ次期大統領に祝福のメッセージを伝え始めた。 新しいアメリカ大統領の誕生は、アメリカ以外にとっても大きな意味を持つ。政権交代によって、各国の外交政策や、国際的な友人や敵対国に対する立場が変化する可能性がある。 世界の指導者たちが示したこれまでの反応を紹介する。 民主党のジョー・バイデン大統領とは難しい関係にあったイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「史上最も偉大なカムバック、おめでとうございます! あなたのホワイトハウスへの歴史的な復帰は、アメリカの新たな始まりと、イスラエルとアメリカの偉大な同盟関係を強力に確認するものになる」、「これは大勝利だ!」と述べた。 イギリスのキア・スターマー首相は、「歴史的な選挙での勝利」だとし、「これから一緒に働くことを楽しみにしています」と述べた。さらに、「最も近い同盟国として、自由、民主主義、進取の気性という共通の価値観を守るため、私たちは肩を並べて立っている」、「経済成長から安全保障、そして技術革新からテクノロジーに至るまで、英米の特別な関係は今後何年にもわたり、大西洋の両側で繁栄し続けるはずだ」とコメントした。 トランプ次期大統領と親しいハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、「アメリカ政治史上、最大のカムバックだ!」とし、「大勝したドナルド・トランプ大統領、おめでとうございます。世界が大いに必要としていた勝利だ!」と述べた。 オルバン首相は、2016年の米大統領選でトランプ氏を支持した最初の、そして唯一の欧州連合(EU)首脳で、今回も再選を公然と支持した。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領もトランプ次期大統領に祝辞を述べ、以前と同様に「敬意と意欲を持って、より多くの平和と繁栄のために」、協力する用意があると語った。 マクロン氏はまた、ドイツのオラフ・ショルツ首相と会談し、アメリカと協力しながらヨーロッパの利益と価値を守るために取り組むことについても話し合ったと述べた。 ショルツ首相はトランプ氏に祝辞を述べた上で、「ドイツとアメリカは長い間、大西洋の両側で繁栄と自由を促進するために協力し、成功を収めてきた」と付け加えた。 北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長も、「NATOを通じて、強さをもとに平和を推進するため、再び(トランプ前大統領と)協力していくことを楽しみにしている」と述べた。また、「トランプ次期大統領は一期目を通じて、強力なアメリカの指導力を示した。一期目を経て、欧州の防衛費支出は大きく転換し、大西洋の両側による費用分担を改善し、同盟の能力を強化した。トランプ次期大統領が1月20日に再び就任する時には、前よりも強くなり、大きくなり、前より団結している同盟が新大統領を歓迎することになる」と続けた。 トランプ次期大統領はかねてNATOを批判し、ヨーロッパの同盟国が安全保障のために十分な資金負担をしていないと非難してきた。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「トランプ大統領が世界情勢において『力を通じた平和』というアプローチを重視していることを評価している。これはまさに、ウクライナに真の平和をもたらせる原理原則だ」と述べた。 トランプ次期大統領は選挙期間中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と領土の喪失を伴う可能性のある合意を結ぶよう、ゼレンスキー大統領に圧力をかけると公約していた。ウクライナは、アメリカが軍事的・財政的支援を削減することを懸念している。 イタリアのジョルジャ・メローニ首相もソーシャルメディアでトランプ次期大統領を祝福し、イタリアとアメリカは「揺るぎない同盟、共通の価値観、そして歴史的な友情で結ばれている。これは戦略的な絆で、今後さらに強化していくと確信している」と述べた。 スペインのペドロ・サンチェス首相も「X」に祝辞を投稿。「我々は戦略的な二国間関係と強固な大西洋横断パートナーシップに取り組んでいく」とした。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は祝辞の中で、EUとアメリカは「単なる同盟国以上の存在」だと述べた。 日本の石破茂首相は「X」に、「トランプ次期米国大統領、心からお祝い申し上げます。日米同盟を更に強化し、自由で開かれたインド太平洋を推進するために、緊密に連携することを心から楽しみにしています」と、握手をする絵文字付きで投稿した。 インドのナレンドラ・モディ首相は、トランプ氏を友人と表現し、祝辞を送った。 また、「前任期の成功をもとに、インドとアメリカの包括的グローバル戦略パートナーシップをさらに強化するために、協力関係を再構築することを楽しみにしている」、「国民の生活向上と、世界の平和、安定、繁栄のために協力したい」と語った。 台湾・国家安全局の蔡明彦局長は記者団に対し、「台湾海峡両岸の関係について、アメリカは中国を抑制し、台湾に友好的な現在のアプローチを継続するだろう」と述べた。 ■中国やロシア、ハマス幹部も反応 中国の毛寧外務省報道官は定例記者会見で、「アメリカ大統領選挙はアメリカの国内問題でだ。我々はアメリカ国民の選択を尊重する」と述べた。 トランプ氏は、アメリカに入ってくる中国製品に多額の貿易関税を課すことをほのめかしている。また、ヨーロッパに対して中国経済との関係をさらに断ち切るよう迫る可能性もある。 クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、「アメリカは友好国ではない」としたうえで、「(ウラジーミル・プーチン)大統領がトランプ氏を祝福する予定かどうかは知らない」と述べた。 また、ロシアはトランプ次期大統領を行動に基づいて判断するとも述べ、「具体的な行動と具体的な言葉に基づいて結論を出す」と付け加えた。 パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスの幹部、サミ・アブ・ズフリ氏は、トランプ次期大統領はアメリカ大統領として戦争を数時間で止められるという自身の声明について試されることになると述べた。 「我々はトランプに、バイデンの過ちから学ぶよう促す」と、同氏はロイター通信に語った。 北朝鮮からは公式な声明は発表されていないが、アナリストらは、対話の可能性が再び開かれる可能性があるため、最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)総書記はアメリカの選挙結果に関心を持っているとみている。 金氏は、トランプ候補の前期在任中に3度、歴史的な会談を行った。最初の首脳会談に先立ち、同氏は北朝鮮がミサイルおよび核実験を停止すると発表した。 しかし一連の会談が失敗した後には、国連の制裁にもかかわらず、核兵器開発計画の拡大を続けている。 (英語記事 Netanyahu and Starmer lead congratulations to Trump)
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