過去2年連続で「S級S班まであと1歩」 GI全日本選抜開催前に山田庸平が心境を告白「今年は楽しみな気持ちある」/特別インタビュー
■山田庸平独占インタビュー/全日本選抜競輪特集 『九州から、いざグランプリへ!』 2020年の中川誠一郎以降、九州地区からは誰一人として、競輪界を代表する「S級S班」の座に着いたものはいない。山田庸平は2022、23年と続けて賞金ランキング上位に名を連ねたが、ライバルたちとのデッドヒートに敗れ、あと一歩及ばなかった。機が熟した今年、開幕ダッシュにも成功し機運は高まるばかり。寡黙ながらもレースになると大胆不敵となる“S級S班にもっとも近い男”が思いのたけを語った。(取材・構成 netkeirin編集部)
今年は勝負できる感覚ある「苦手も得意も無くなった」
ーー今年は初戦の1月立川競輪「スポーツニッポン杯」を完全V、そしていわき平記念でも決勝に乗って3着と、幸先いいスタートを切りました。 山田 今年は自信がある…というか、ある程度は勝負ができそうだなって気持ちが自分の中にあるんです。あとは楽しみ、といった感覚も。 ーー興味深いです。その根拠を具体的に聞かせてください。 山田 昨年の競輪祭のあと、これからの自分の戦法を見つめ直そうかなってとき、ちょうど広島記念で優勝したんです。広島は手応えが無かったけど、その後も優勝できたので自信になったんです。それに、いわき平も体調がイマイチのなか走れたし、こうすればもっとよくなる、みたいなものが見えてきました。 ーー毎年、山田選手は「寒い時期が苦手。状態や成績がいつも振るわない」と話していました。その辺りはどうだったのでしょう。 山田 そうですね、時期的に苦手だったんです。でも今はレベルアップして安定できたからか、そういう考えが無くなった。逆に“得意”って感覚も無くなりましたが。 ーー「得意な感覚が無くなった」とはどういうことですか。 山田 これまでは周りから聞かれると、バンクなら平塚だったり、333走路だったりが得意と言っていました。それが、ある程度の力を付けることで得意って観念が自然なものになっていったんです。(S級上位陣なら当たり前のレベルに)追いついていったっていう表現ですね。 ーー以前は、たとえ力が及ばなくても得意という感覚を信じて乗り切っていたということですか。 山田 はい。得意、不得意っていうものに左右されなくなったというか。冬場の寒い、風が強いなんてずっと嫌だったけど、今はむしろ風が強い方が良かったりします。 ーー先日のいわき平記念も強風に選手たちは手を焼いているように見えました。 山田 寒くて風も強烈でした。みんなきつそうだったけど、自分はそこまで感じませんでした。今まで、いわき平って走りにくかったけど、いい成績だったし。 ーー“当たり前”になったのでしょうか。 山田 そういう感じかも。得意と思っていたものが打ち消されていくというか。だから、今までは軽いバンクで流れているなと感じたものが、最近走ったら思ったほど流れていないとか、そういった感覚はよくあります。 ーーどうやって、その位置まで押し上げたのでしょう。 山田 冬場でいうと、強風に関してはフォーム改善ですね。空気抵抗のかからないフォームを意識して、あとは風が当たらないようなペダリングです。 ーー今月9日から岐阜競輪場でGI「全日本選抜競輪」が行われます。例年2月に行われる当大会は寒い時期の開催です。これまでは複雑なイメージを抱いたまま走っていたということになりますね。 山田 いつも、成績は良くないです。だけど、初日特選を走れていたし、そのアドバンテージで何とか“しのいで”いました。着や点数を辛うじてキープしていた感じです。 ーー2024年一発目のGIを前に、高ぶるものがあるのではないですか。 山田 これまでなら苦手さを受け入れて、しのごうって気持ちが強かったけど、今年に関しては走りたいとか楽しみだなって前向きになれている。岐阜は3年前に共同通信社杯(GII)を走りましたが、昔の実力からしたらよく準決勝に乗れたなと思ったし、いい印象があります。