野菜高騰で知恵絞る 安い仕入れ先探し、廃棄減のメニュー考案… 福島県内飲食店 書き入れ時「乗り切るしかない」
福島県内でも白菜、ダイコン、キャベツなどの野菜の価格が高騰し、飲食店関係者は少しでもメニュー価格を抑えよう、と知恵を絞る。平年と比べ2倍程度上昇している品目もある。忘年会シーズンを迎え、書き入れ時の飲食店にとって食材の値上がりは利益に直結する。経営者は、少しでも安い仕入れ先から食材を購入し、廃棄を減らすよう努める。サラダの食べ放題を提供している店では客の行動に変化が表れている。 本宮市の「居酒屋 優良企業」代表の遠藤幸雄さん(61)は、新鮮で安い野菜を購入するため複数の小売店を回って値段を見比べている。地元農家の直売コーナーの方が安い時があるという。それでも、かねてからの物価高で仕入れ全般の原価は5%~10%上がっている。鮮度の良いうちに使い切るなど、廃棄を減らすメニューを考えている。「苦しいが工夫を続けて乗り切るしかない」と前を向く。 師走が近づき、福島市の居酒屋「食彩ひとくち」では、多くの客が席を埋める。年末にかけ、金曜日と土曜日を中心に予約が埋まりつつある。寒くなり、鍋料理の人気が高まってきた。オーナー兼板前の斉藤京子さん(60)は知り合いの農家から仕入れるなどして費用を抑えている。「常連さんに負担をかけなくない」と価格転嫁はしないつもりだ。「当面は赤字覚悟で切り盛りするしかない」と気丈に語った。
ランチでサラダ食べ放題を提供する福島市の「ビア・ハウス ローゼンケラー」でも、担当者が複数の販売先に足を運び、1円でも安い食材を探し、仕入価格を抑えている。価格が高騰し始めて以降、普段は1皿程度の常連客が2皿、3皿とお代わりする機会が増えたという。代表兼チーフコックの小林宣允(のぶみつ)さん(41)は「企業努力でお客さまの満足感を保ちたい」と語った。 消費者も同様だ。いわき市の吉田はるいさん(80)は、折り込みチラシを見ながら特売日を狙って目当ての商品を購入する日々。主食のコメの価格の高騰に、野菜の高値が追い打ちをかけた。「何かで代用して食事を考えるしかない」とため息をもらした。 農林水産省の食品価格動向調査によると、今月18日の週のキャベツの平均小売価格は1キロ当たり417円で、平年(過去5年の平均価格)の約2・4倍となった。大根や白菜も5割高で推移している。 須賀川市のJA夢みなみ農産物直売所「はたけんぼ」では、生産者が市況などを参考に値付けする。全般的に野菜などの値段が高めに設定されており、特にキャベツやトマトが高騰しているという。担当者は種や肥料、農薬などの高騰に、夏の猛暑の影響が重なったことが要因とみている。