津軽弁で「走っけろメロス」 ユーモラスに朗読 青森・弘前市で「笑う太宰フェス」
旧金木町(現青森県五所川原市)出身の作家太宰治の魅力を笑いの視点から再発見する「笑う太宰フェス」が16日、弘前市の市民文化交流館ホールで開かれた。弘前学院大客員准教授で津軽弁朗読家の鎌田紳爾さんが、太宰の代表作「走れメロス」を津軽弁に訳した「走(は)っけろメロス」を朗読し、集まった太宰ファンがユーモラスな語りに笑い声を上げていた。 同フェスは同市の「文化こうりゅう事業実行委員会」(委員長・桜田宏市長)が主催。最終日のこの日の朗読には約25人の市民らが参加した。鎌田さんはさまざまな声色を使い分けて津軽弁で「メロスはうって(すごく)怒(おご)った」「んだ(そうだ)!」「だだば(誰だ)!」と情感たっぷりに読み上げ、会場は笑いの渦に包まれた。終盤の熱のこもった朗読に涙する観客もいた。 アフタートークでは、鎌田さんのほか劇作家の福井次郎さん、文筆家の世良啓さん、声優劇団「津軽カタリスト」代表の平田成直さんらが、太宰作品とユーモアについて語り合った。 鎌田さんは「句読点の付け方など、太宰の文体には津軽弁に引きずられているところが多くある」と話した。平田さんは「太宰が『芸術は弱者の味方』と言ったように、太宰作品には人に寄り添うような面白さがある」と語った。 朗読を聞いた市内の静野はるさん(24)は「インパクトがあってとても面白かった。太宰とユーモアについての話も興味深く聞いた」と話した。 同実行委は今月、「太宰の國に浸がる旅」と題し、太宰が学生時代を過ごした弘前でさまざまなイベントを開催。今後、講師の解説付きで街を歩く「太宰治文学散歩」や、津軽カタリストによるドラマリーディングが予定されている。