【漫画家に聞く】校則違反の“乱れた”服装や髪型、そこに理由があったとしたらーー風紀委員の葛藤を描いたSNS漫画にキュン
学生の自由を過剰に制限していないか、いやいや風紀の乱れは心の乱れだ……と、いつの時代も話題になる学校の「校則」。服装や髪型についても度々議論されるが、一見、乱れた格好でも意味があったとしたら、許してしまいたくなるかもしれない。8月上旬にXに投稿され、7000以上のいいねを集めている『好きな男の子には 服装チェックが甘々(?)になる女の子の話』は、そんな気持ちになる愛らしい作品だ。 校則違反の“乱れた”服装や髪型、そこに理由があったとしたら……漫画『好きな男の子には 服装チェックが甘々(?)になる女の子の話』 風紀委員の北野は、普段からピアスをして服を着崩している1年下の後輩・宮島に手を焼いている。実は自分に懐いてくれる宮島に思いを寄せており、彼が自由でいられるように手を回す日々を送っているのだった。しかし、教師から服装違反をした生徒を罰則する制度の導入を聞かされ、北野は宮島が取り締まられてしまう可能性に戦々恐々とする――。 「小説家になりたい」という夢を持っていた伯母が6年前に本を出したことをキッカケに、「『なりたい』と思っていても何にもしなかったら、何もしないまま人生を終えてしまう」という危機感が芽生え、漫画制作に本気で取り組むようになったと話す作者の矢野ななほさん(@nanaho_yano24)。ニヤニヤと癒しを与えてくれる本作をどのようにして描いたのかなど話を聞いた。(望月悠木) ■『ダメだ』と言われていることは、本当にダメなのだろうか? ――なぜ『好きな男の子には 服装チェックが甘々(?)になる女の子の話』を制作しようと? 矢野:「一般的に『ダメだ』と言われていることは、本当にダメなのだろうか?」という疑問を作品に混ぜ込みたかったからです。「世間的には『だらしない恰好はダメだ』と言われているけど、本当は応援している人もいるよ」ということを伝えたくて本作を制作しました。 ――そこからとんとん拍子で制作が進んだと。 矢野:いえ、下絵段階で自分の絵の下手さに絶望して、実は半年ほど作業がストップしてしていました。ただ、その半年間、連載作家の先生のアシスタントを経験させてもらい、そこで画力をかなり鍛えていただき、「今なら描けるかもしれない!」という自信を手に入れて本格的に描き始めました。 ――風紀委員と服装が乱れている生徒の物語にした狙いは? 矢野:「ヒロインがヒーローを守る」という作品をずっと描きたかったことが大きいです。“風紀委員”というポジションは現在はあまり聞かないかもしれませんが、「この設定なら違和感なくヒーローを守ろうとすることができるかも!」と思って選択しました。 ――北野と宮島をどのようにして作り上げたのか教えてください。 矢野:北野ちゃんは当初ふわふわのショートボブだったのですが、急にツインテールが描きたくなって変更しました。宮島くんはとにかくチャラくなることを意識しています。また、以前女性編集さんが「韓国男子は最高!」と言っていたことを思い出し、後半の宮島くんは韓国男子を検索して参考にしました。 ――宮島のビジュに北野がキュンキュンするシーンが多かったです。特に宮島のデザインでこだわった部分は? 矢野:私は男性の鎖骨が好きなので、チャラい時の宮島くんの鎖骨はどの服でも出しました。鎖骨は絶対です(笑)。また、髪の毛もふわふわにするように意識をしました。 ――あらゆる喜怒哀楽を見せてくれる北野も可愛らしかったです。北野の表情を描くうえで、喜怒哀楽を描き分けるうえでこだわったことを聞かせてください。 矢野:北野ちゃんは思ったことが表情に出ちゃうタイプの子で、その純粋さ・天真爛漫さを描くように心がけました。描いている時は自分も感情移入をしながら描いています。 ――両片思いのすれ違いがしっかり表現されていました。改めて2人のすれ違いを描くうえで意識したことはありますか? 矢野:「お互いが大切に想っているからこそすれ違ってしまう」という様子は描きたかったです。「2人がどういう経緯を踏め、どう想い合うようになったのか」という、作中には描いていないところまで思慮を巡らせて描きました。とても大変な作業でしたが、漫画を描くうえで必須なことなので、これからも精進したい部分です。 ――今後の漫画制作の予定など教えてください。 矢野:現在、別名義で連載準備をしている作品があります。また、憧れの雑誌デビューも目指しているため、頑張っていきたいです!
望月悠木