二宮和也と家族の七五三写真報道は「プライバシー侵害になり得る」 弁護士が見解「報道の大義名分はあるのか」
「踏み越えてはいけない一線を考える時期」
ただし、ここでもう一つハードルがある。それは我が国では、慰謝料が認められても金額が不十分なことが多いという点だ。 「ブブカスペシャル7事件」でも判決が認めた慰謝料額は高くて220万円、低い人で17万円だった。この金額だと弁護士費用さえカバーできず、裁判に勝っても赤字になるおそれが大きい。日本の裁判は全体として慰謝料の金額が低く、このことが裁判を起こす側の障害になっている。一方で「ブブカスペシャル7」の発行部数は16万部以上。これでは慰謝料も雑誌の「必要経費」扱いで「やった者勝ち」になりかねない。 しかし、人の心はそんなに安いものではないはずだ。人の尊厳にかかわるプライバシー権の重要性が浸透してきた今こそ、プライバシーを侵された人の救済について考え直すべきだと思う 著名人であろうとなかろうと、誰でも「一人にしておいてもらう権利」はある。そろそろ社会全体で、踏み越えてはいけない一線を考える時期に来ているのではないだろうか。 □西脇亨輔(にしわき・きょうすけ) 1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうま』『ワイドスクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。社内問題解決に加え社外の刑事事件も担当し、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反などの事件で被告を無罪に導いた。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。同6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。同7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、同11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。今年4月末には、YouTube『西脇亨輔チャンネル』を開設した。
西脇亨輔