熊対策「崩壊の危機」 札幌でフォーラム 体制強化が急務
野生鳥獣などの研究者らでつくる「ヒグマの会」は11日、札幌市北区でフォーラムを開き、被害の抑制に向けた現場の取り組みを共有した。発表者からは、人身や農作物への被害が多発する中、狩猟者を中心とした現行の捕獲体制は「崩壊の危機」にあるとの指摘が相次いだ。 公益財団法人知床財団の山中正実特別研究員は、熊対策の最大の課題に不十分な体制を挙げた。人里出没時に捕獲を担ってきた狩猟者の減少・高齢化が進んでいるとし、将来的に「捕ることすらままならなくなる」と警鐘を鳴らした。 普及啓発や個体の行動調査などの対策まで狩猟愛好団体に求めるのは困難との認識を示し、「今後は隣接する複数自治体による実働組織をつくり、専門の対策員を雇うなどして実効性を担保するべき」だと提言した。 人と熊の生活区域を分ける「ゾーニング」についての報告もあった。同市の清尾崇・熊対策調整担当係長は、今春改定した市の基本計画で、ゾーン区分を3から4に細分化したと説明。区分や熊の行動に応じて捕獲や追い払いなど必要な対応をとり、被害軽減を目指しているとした。 フォーラムには会員以外の市民なども含めて300人ほどが参加した。
日本農業新聞