M-1準決勝進出の瞬間を芸人たちが動画で公開 視聴者に伝播する“独特の緊張感”
2023年11月23日、漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2023』(ABCテレビ)の準決勝に進出した30組が発表された。年々、M-1のレベルは上がっており、3回戦ではコロコロチキチキペッパーズやAマッソ、準々決勝では男性ブランコやインディアンスなど、知名度の高いコンビが次々と敗退した。 【写真】M-1準決勝の結果を聞いた瞬間の令和ロマン・松井ケムリ 決勝だけではなく準々決勝、準決勝に進むことさえ苦難の道であり、芸人にとっては合格発表を見ることはハラハラドキドキという言葉では収まらないほど、激しく感情が揺れ動く瞬間と言える。いまではYouTubeチャンネルを開設する芸人はむしろ多数派となったが、合否を知る瞬間を撮影した動画をアップしている芸人も多い。 『ABCお笑いグランプリ』(ABCテレビ)で2022年、2023年で準優勝した若手実力派コンビ・令和ロマンのYouTubeチャンネル「official令和ロマン【公式】」の動画では、髙比良くるまが松井ケムリに対して、順番に準決勝進出を決めたコンビの名前を読み上げていく。いきなり「エントリーナンバー不明」とボケるとすかさずケムリは「冷める冷める」とツッコみ、気が気ではない表情だ。その後、くるまは『プロ野球ドラフト会議』のナレーションのようなトーンで準決勝進出者をどんどん発表していった。 なかなか「令和ロマン」という名前が聞かられないことに表情が曇らせるケムリ。そんななか、くるまはカメラを前後に激しく動かし「ドゥルドゥルドゥルドゥル」「キュイーン」と“確定演出”を見せ、それにケムリはパッと表情が明るくなったものの、告げられた名前は「鬼としみちゃむ」。本当にパチンコのリーチを外したかのように、ケムリは怒るでもなく「マジでいいわ」とぐったり。 確定演出は終わり、再び名前を呼び始めるくるま。「スタミナパン」と読んだ後、「そしてワイルドカード」と言うとケムリは「落ちてんじゃん」とポツリ。傷心状態のケムリを余所に“パチンコ台”は再び確定演出を始め、「鬼としみちゃん」「パーフェクトパワーズ」など、なかなか最後のひとつが揃わないじれったい状況のなか、くるまは「令和ロマン」という。ケムリは脳汁がドバーっと出まくったかのような開放感のある表情を浮かべ「良かった。次も頑張ろう」と準優勝への抱負を口にした。 ・戦友を祝うカッコ良さ 『キングオブコント2023』(TBS系)でトップバッターながら準優勝を果たしたカゲヤマの2人と、きっと君はくるさというコンビのカルビちゃんによるYouTubeチャンネル「あむあむWORLD」では、タバやん。が準々決勝で敗退したことを知ったときの姿が映っていた。すでに結果を知っている益田康平がカメラを回しながら、タバやん。は準決勝進出者の写真と名前が載ったM-1の公式ホームページをスマホで開き、画面をカードで隠しながら確認していく。 タバやん。はロン毛ということもあり、カードをスライドさせるとすぐにロン毛を手掛かりに「カゲヤマ」を探すが、「ロン毛がない」と悔しい表情を見せる。その後も「ロン毛いない」とエキサイトしていた矢先、「ロン毛が2人いた」と鬼としみちゃむとトム・ブラウンのそれぞれロン毛がいるコンビの写真を見つけて「惜しい」「ロン毛枠もうないよ」と落胆。そして、最後まで確認して「カゲヤマ」の名前がなかったことに「落ちたのにやらせんな」と残酷な企画を実施したことにツッコミを入れた。 カゲヤマの動画で印象的だったことは、タバやん。が各準決勝進出者の名前を読み上げるたび、タバやん。も益田も「おめでとう」と賛辞を送っていたことである。益田はすでに結果を知っているため、心に余裕があったと思うが、タバやん。は結果を知らない。いままさにふるいにかけられている状況のなか、仲間の準決勝進出をお祝いする様子はグッとくる。とりわけ、シシガシラの準決勝進出を知ったときは何度もガッツポーズをつくって自分ごとのように喜んでいた。 M-1に関連した動画をアップしている芸人は数多い。動画では、そういった緊張の裏側をのぞくことができる。そんな瞬間を乗り越えて舞台に立っている姿を見ると、より一層お笑いを楽しさとかっこよさを感じることができるのではないだろうか。
望月悠木