NHK、北九州中3殺傷事件で容疑者住所を番地も放送 1時間後にカットもSNSで拡散
北九州市小倉南区のファストフード店での中学3年男女殺傷事件を巡り、NHKが19日正午のニュースで福岡県警の記者会見を放送した際、県警側が殺人未遂容疑で逮捕された同区の無職、平原政徳容疑者(43)の住所を番地まで読み上げて発表する様子をそのまま伝えた。SNSでニュース映像の切り抜きや字幕付きの画像が拡散され、容疑者の家庭環境を攻撃するような書き込みも相次いでいる。 【写真】殺害された中島咲彩さん 塾帰りに来店し「勉強しようとした」 ■「総合的に判断」 NHKは午後1時以降のニュースでは、番地の部分をカットして放送した。ただ、正午のニュースから容疑者の住所が公開情報のようになり、SNS上には容疑者の人格攻撃や動機に関するさまざまな臆測などが続々と投稿されている。 NHKは産経新聞の取材に対し、今回の対応について「ニュースで何を伝えるかについては、自主的な編集判断に基づいて、その 都度、事件の重大性や速報性なども考慮しながら、総合的に判断している」と答えた。 警察が成人の容疑者を逮捕したことを報道機関に広報する際、一部には番地まで公表するケースもある。報道機関は個人情報保護法の適用が除外されており、取材活動に利用する一方、各社は規約などで個人情報の取り扱いの方針を公表している。 NHKが令和4年に制定した「NHKパーソナルデータ憲章」では、「業務を行うにあたっては、みなさまの人権を尊重し、不当にプライバシーを侵害しないよう、あらゆる過程で細心の注意を払うことが重要」とし、「いままで以上に、配慮が求められている」としている。氏名や住所などの個人情報はパーソナルデータに含まれると定義し、「報道・著述目的で取得した個人情報は、正当な理由がある場合を除き、ほかの目的では利用せず、漏えい等が起きないよう適正に管理する」と定めている。(高木克聡)