[MOM4932]京都橘GK平誠都(2年)_先輩たちの思いと共に戦った下級生守護神、好守連発&PKストップで全国へと導く!!
[11.10 高校選手権京都府予選決勝 東山高 0-0(PK1-4) 京都橘高 サンガスタジアム by KYOCERA] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 延長戦を含む100分間のシュート数は京都橘の5本に対して、東山は15本。自チームの3倍ものシュートを浴び、その多くが決定機と言えるものだったが、京都橘高GK平誠都(2年)は最後の砦としてゴールマウスの前に立ち塞がった。 開始5分で打たれたファーストシュートは正面でキャッチしたが、最初のピンチは32分。エリア内の左でフリーの状態で至近距離から放たれたシュートに対して、前へ出てセービング。直後の33分には東山のデザインされたショートコーナーから上げられたクロスをファーサイドでフリーで合わせられたが、投げ出した身体の右足でなんとか防いだ。 後半の見せ場は終了間際の40分。ロングスローのこぼれ球から、エリア内中央でのシュートを左手一本でかき出してみせた。そして延長前半5分にはこの試合最大のピンチが訪れる。左サイドからの折り返しをエリア内中央からフリーでシュートを打たれるも、鋭い反応で決定機を阻止。耐える試合展開が続いた中で失点を許さず、PK戦へと持ち込んだ。 PK戦でも、活躍は止まらない。東山の1人目の狙いを読んでキックと同じ方向へ飛ぶと、ボールはクロスバーを直撃。2人目も読みが当たって、今度は手で見事にセーブ。味方は4人全員が成功させて、全国への切符をつかんだ。 試合後、自身の活躍について尋ねられると「味方の選手がシュートを打つ相手へ身体を当てたり、諦めずに寄せてシュートコースを限定してくれたからです。最後に防いだのが僕だっただけで、11人全員で守ったんだと思います」とチームメイトに感謝の言葉を送っている。DF陣を中心に粘り強い守備対応を見せていたのは事実だが、それでもGKの活躍が無ければ失点を許していただろう。キャプテンで最終ラインを統率したDF宮地陸翔(3年)も「平がめちゃくちゃ止めてくれたので、そこに救われました」と2年生GKの活躍を認めている。 また、PK戦については「止める自信しかなかったです。東山は今大会でPK戦を2度制して勝ち上がってきたので、PK戦も苦しい戦いになるなとは思っていましたが、仲間を信じて、自分が止めるだけでした」と振り返った。 今季の京都橘は主に3人のGKがポジションを争っている。決勝でもベンチに入ったGK櫛田武蔵(3年)やリーグ戦で起用されていたGK川尻修生(3年)に、下級生の平が挑んでいた。米澤一成監督は平を起用した理由について「シュートストップができて、キックもある。ハイボールの処理も勇気を持って前へ出れる。ここまで(リーグ戦や各大会で)GKが変わる中で彼も緊張感を感じることがあっただろうけれど、自信を持ってプレーできるようになってきたと思います」と評価する。そうした能力は認めつつも、それ以外のプレーや味方に与える影響力の部分ではライバルたちと比べて物足りなさがあった。そうした課題とも向き合いながら取り組み続けて、最後はゴールマウスを任されることになった。 ポジション争いについては「今シーズンはチームが苦しい中で失点も多かったけれど、GKチームのみんなで励ましの声などをかけあっていました。みんな日頃の練習からがんばっているので、今日はGKチームの代表として僕がゴールを守りました。(川尻)修くんや(櫛田)武蔵くんの分もがんばろうと思ってピッチに立ちました」と先輩たちの思いと共に戦ったことを口にしている。 全国大会へ向けては「まだまだ足りない部分があります。今日もセットプレーでピンチがあったし、チャンスを決めきるところもそう。GKとしては相手にシュートを打たせてしまっているので、そこまで行かせない守備を目指したいです」と取り組むべきものにも目を向けている。 3年生にとって、選手権本大会は最後の大舞台。「今年は勝てないことが多くて、3年生も苦しんで悩んでいることは僕たちも感じていました。少しでも力になりたいという思いが強いです。3年生のためにも、どのチームよりも一番長くみんなとサッカーがしたいです」と意気込みを語った。本大会まで約1か月半の期間があり、正GK争いも続くことになる。全国でピッチに立てる保証はないが「やっぱり(全国でも)試合に出たい。自分が出ることを目指しながら、他のGKたちと一緒に日頃の練習からがんばっていきたいです」と話す。ライバルであり、仲間でもあるGKたちと切磋琢磨しながら、全国の舞台へ挑戦する。 (取材・文 雨堤俊祐)