福山市の子ども未来館、候補地決定が新年度に持ち越し ふくやま美術館か体育館跡地か
広島県福山市が本年度内を目指していた「子ども未来館」(仮称)の整備候補地の決定が、新年度に持ち越される見通しとなった。市は既に市営ふくやま美術館駐車場(西町)と旧市体育館跡地(草戸町)の2カ所に絞り込んでいるが、事業手法を踏まえた比較検討などに時間がかかっている。 【写真と地図】解体工事が進む旧市体育館 市は設計や建設、管理運営を一括して民間が担うデザイン・ビルド・オペレート(DBO)方式や、資金も民間が調達するPFI方式を優先的に検討。昨年10月から業者に委託し、導入可能性を調べている。ただ、各候補地の事業費や費用対効果などの調査に加え、事業への参加意欲を示す全国約20社の聞き取りに時間を要している。 2025年の大阪・関西万博のパビリオン誘致にめどが立っていないことも響いている。日本国際博覧会協会が万博終了後の再利用を希望する団体の公募を計画し、市は昨年9月、未来館での活用を前提に誘致の方針を固めた。しかし、本年度内とされていた公募の詳細がまだ示されていない。 また、両候補地とも一長一短がある。美術館駐車場は県立歴史博物館や福山城のそばでJR福山駅も近いが、敷地が狭く駐車場確保が難しい。文化財が埋まっている可能性が高く、整備に影響する懸念がある。一方、体育館跡地はまちづくり支援拠点施設(仮称)の整備が決まっており、連携を期待できる。駐車場のスペースも十分あるが、駅からは遠くなる。 未来館を巡っては、市議会の特別委員会で議論してきた。ただ、一部の市議は「場所が決まらないと結局、議論は進まない」と指摘する。市は24年度の早い時期に候補地を決め、市議会に示す考え。市企画政策課は「場所選びは非常に重要な要素。時間がかかっているが丁寧に検討し、より良い未来館にしたい」としている。
中国新聞社