鹿児島県の路線価、九州で唯一下落…下落率最大は志布志市志布志町志布志2のマイナス4・3%
熊本国税局は1日、2024年分の鹿児島県内の路線価(1月1日現在)を発表した。前年と比較した県全体の平均変動率はマイナス0・7%で、32年連続で下落した。九州7県で唯一の下落となり、下げ幅も0・5ポイント拡大した。都市部では新型コロナ後の経済回復がみられる一方、地方では少子高齢化や過疎化の影響が続いているとみられる。 【一覧表】九州各県の路線価の前年比平均変動率
路線価は主要道路に面した1平方メートル当たりの評価額で、相続税や贈与税の課税基準となる。
県内の最高額は、鹿児島市東千石町・天文館電車通りの92万円で、昨年の91万円から1・1%上昇。2年連続の上昇となり、複合商業施設「センテラス天文館」など周辺の再開発の影響が続いているとみられる。
一方、税務署別の最高路線価の中で下落率が最大だったのは、志布志市志布志町志布志2・国道220号(2万2000円)のマイナス4・3%だった。
県内の調査対象3643地点のうち、継続調査したのは3612地点。このうち上昇は719地点(前年464地点)と大幅に増加。一方、下落も1077地点(同595地点)とほぼ倍増となった。横ばいは1816地点(同2570地点)だった。
熊本では、台湾積体電路製造(TSMC)の進出などにより、平均変動率は引き続き上昇。新型コロナ後の経済回復の影響などで、大分も上昇幅が拡大したほか、宮崎は上昇に転じた。
鑑定を担当した鹿児島県不動産鑑定士協会の木下登会長(鹿児島中央鑑定事務所)は「鹿児島市以外でも、奄美や西之表など回復傾向がみられる地域がある一方、南薩や北薩を中心に、少子高齢化の影響を大きく受けている地域も多い。地方の中でも差が生まれている」と指摘している。