マレーシア、「10年前に消息不明」となったMH370便の捜索を再開
マレーシア政府は12月20日、今から約10年前の2014年3月に南シナ海の上空で消息を絶ったマレーシア航空370便の捜索を再開すると発表した。乗客・乗員239人を乗せた同機は、クアラルンプールから北京に向かう途中で交信が途絶え、これまでの捜索では機体の一部が発見されただけで、一体何が起きたのか真相は謎に包まれたままだ。 マレーシアのアンソニー・ローク運輸相は、米国の海洋探査会社オーシャン・インフィニティに捜索を依頼することに政府が合意したと発表した。 同社との契約の最終条件は2025年初頭に確定するが、すでに提示された成果報酬型の契約に基づくものになるという。オーシャン・インフィニティは、370便の主要な残骸が発見された場合に7000万ドル(約110億円)の報酬を受け取ることになる。 ローク運輸相によると、新たな捜索活動は、同機が墜落したと広く信じられているインド洋南部の1万5000平方キロメートルのエリアに焦点を当てる予定という。オーシャン・インフィニティは、この捜索区域に自信を持っており、マレーシア政府も多くの専門家の研究に基づいて同社の手がかりの信頼性を確認したと述べている。 ローク運輸相は、政府の乗客の遺族に対する責任感や義務を強調し、「残骸が発見されて、家族たちに決着がもたらされることを望む」と語った。 オーシャン・インフィニティは2024年3月の370便の消息不明から10周年のタイミングの直前に、新たな捜索に向けた提案を行った。同社のオリバー・プランケットCEOは、2018年に行った前回の捜索が失敗に終わった後、テクノロジーを刷新して高度なロボット技術を導入したと述べている。同社は、複数の専門家と協力して370便に関するデータを分析し、「成功の可能性が高い区域まで捜索範囲を絞り込んだ」としている。 370便の消息不明は、ここ数十年で最も大きな航空関連の謎の1つとされている。同機の消息不明を巡っては、航空機や衛星、船舶、深海探査機などを用いた大がかりな捜索活動が行われたものの、機体の最終的な位置や何が起こったのかについての決定的な手がかりは掴めていない。専門家は、370便がインド洋の南部に墜落したと考えているが、墜落現場は未だ特定されていない。一方、この航空機の小さな破片はアフリカ東海岸やインド洋の他の島々に漂着したことが確認されている。
Siladitya Ray