ソフトモヒカンの女性医師 「4つのキャリア」持つ高尾美穂さんの”大胆な人生観”
私は、“夜中に働かなくていいライフスタイルで産婦人科の仕事を続けていきたい”とイメージし続けていたからこそ、今の働き方に移行できたんだと思います。 ■キャリアに4つの軸を作った理由 ――今、高尾さんの働き方には、産婦人科医のみならず、スポーツドクター、産業医、ヨガ指導者と4つの軸があります。現状のキャリアもご自身がイメージして叶えていったものでしょうか? そうですね。私は今、産婦人科医として週4日、保険診療をしていますが、スポーツドクター、産業医としても働いています。このキャリアは意志的に拓かなければ、辿り着けなかったものです。スポーツドクターも産業医も、専門医とは別の資格が必要ですし。整形外科医なら、スポーツドクターも身近な資格ですが、私は産婦人科医。ロールモデルがありませんでした。東京オリンピックも経て、今でこそ数も増えましたが、当時は日本に100人もいなかったんです。
――オリンピックでアスリートをサポートしたい気持ちもあったのでしょうか。 それ以上に、これまでの活動とも繋がるキャリアだと思ったからです。私は長らくヨガを学び、教えてもきて、運動が人生にとっていいものであることは間違いないと体感もしていました。それを多くの人に伝えたいなと思ったとき、自分がスポーツドクターとしても活動して、科学的にもそれを伝えられたら、説得力が増すだろうなとも思ったんです。 産業医になったのもそうです。産婦人科医の産業医なんて、いまだにそこまで多くいません。もともと産業医学が専門の方、次いで内科医、メンタルヘルス分野の医師が産業医になられる。でも私は、女性の診察をしながら、働く環境には大きな問題があるなと感じていたので、その現場を知りたいとも思ったし。自分のような視点を持つ産業医は必要ではないかと思って資格を取るための勉強をしました。
――現場での問題意識が出発点だった。 そう思います。今、産業医としては週2日会社に出社して会議にも出てきたから、一般的な企業の仕組みやそこで生まれるストレスも理解できます。スポーツドクターとしてもそうですが、皆さんが生きている日常や問題の本質を知ったうえで、いろんなアドバイスできるのはすごくよかったことだなと思います。 ――女性のさまざまな病や不調を治療するうえで、必要だなと感じたことを1つ1つ身につけていった結果が、今の唯一無二のキャリアとなったんですね。