YOASOBI、藤井 風ら日本アーティストのアジア進出が加熱 ライブツアー行う地域や会場キャパは?
世界的にコロナ禍の猛威が落ち着きを見せてきた昨今、海外でライブ活動する日本のアーティストが増えている印象がある。例えばBABYMETALは今年、約4年ぶりとなるワールドツアーを開催した。自身初となるアジア&オーストラリアでのワンマンツアーに加え、自身最大規模となる全29公演に及ぶ北米ツアーを実現。北米ツアーだけで総動員数は11万人を超えたという。 【画像】満面の笑みを見せる藤井 風 BABYMETALのように西洋圏で大々的にライブツアーを開催するケースは稀だが、アジア圏となると例は多い。YOASOBIを始め、RADWIMPSやONE OK ROCK、JO1、fhána、MAN WITH A MISSION、yama、藤井 風、NOAなど、今年はこれまでに多数のアーティストがアジアでのライブを開催してきた。そこで本稿では、今年発表/開催された「初のアジアツアー」に絞り、それぞれの会場の規模や地域などをまとめてみたい。 ■YOASOBI 今年9月に発表され、12月から来年1月にかけて開催されるYOASOBI初のアジアツアー『YOASOBI ASIA TOUR 2023-2024』は、7都市を巡る全8公演。このツアーで特徴的なのが、序盤はフェスに出演するということだ。12月1日に香港で開催される音楽フェス『Clockenflap』へ出演し、その2日後には台湾で開催される音楽フェス『2023 Simple Life 簡單生活節』にも出演。いずれもヘッドライナーを務める。この2つのフェスに出演した後、ソウル(KOREA UNIV. TIGER DOME)、シンガポール(Resorts World Sentosa)、クアラルンプール(Zepp Kuala Lumpur)、ジャカルタ(Istora Senayan)、台北(Zepp New Taipei)でワンマンライブを行う。特に2日間行われるソウル、1日のみのジャカルタでの公演は、収容人数7~8,000人というアリーナ規模のため、大きな盛り上がりを見せそうだ。今年リリースした「アイドル」は海外でもヒットを記録したため、アジアでもYOASOBIのステージは待ち望まれているに違いない。 ■藤井 風 今年4月に発表され、6~7月に行われた藤井 風の自身初となるアジアツアー『Fujii Kaze and the piano Asia Tour』は、7都市11公演。ソウル(KWANGWOON UNIVERSITY DONGHAE CULTURE & ARTS CENTER)、バンコク(KBank SIAM PIC-GANESHA THEATRE)、ジャカルタ(KASABLANKA HALL)、クアラルンプール(Zepp Kuala Lumpur)、上海(SHANGHAI CENTRE THEATRE)、台北(TAIPEI INTERNATIONAL CONVENTION CENTER)、香港(ACADEMIC COMMUNITY HALL, HKBU)といった東アジアの主要都市を約1カ月かけて巡った。昨年「死ぬのがいいわ」がバイラルヒットし、海外リスナーが増加したことで実現したこのアジアツアー。最初に火がついたタイ・バンコクは2日間開催とはいえ、会場の収容人数が約1,000人ほどだったというから、かなりの倍率だったのではないかと想像する。その他も2~3,000人規模の会場を巡っているが、全公演がソールドアウトするほど。ただその分、ステージと客席が近いライブとなり、ピアノの弾き語りという形式も相まって、現地のファンと密なコミュニケーションが取れるツアーになったのではないか。 ■JO1 8月に詳細が発表され、11月から始まったJO1初のアジアツアー『2023 JO1 1ST ASIA TOUR ‘BEYOND THE DARK’ LIMITED EDITION』は、ジャカルタ(Ciputra Artpreneur-Theater)、バンコク(Union Hall, 6/F Union Mall Ladprao)、台北(Zepp New Taipei)、上海(上海国家会展中心 虹馆EH)を回る全4都市4公演。特にバンコク公演は最大で1万人以上を収容できる大会場のUnion Hallだが、実際にどれだけの観客が入ったかは不明。いずれにせよ、やはりタイにおける日本の音楽人気は高いようだ。ちなみにジャカルタは約1,000人、台北は約2,000人、最終日の上海公演の収容人数は約3,000席。日本のダンスボーカルグループのアジア人気が高まりつつあることが分かる。 ■yama 9月に発表され、11月から12月にかけて開催されるyamaの初海外ツアーは、クアラルンプール(Zepp Kuala Lumpur)、シンガポール(Capitol Theatre)、マニラ(The Podium)、バンコク(The Portal Ballroom)、台北(Zepp New Taipei)といった東南アジアの都市で全5公演を行う。日本ではお馴染みとなっているライブハウス・Zeppは、このところ国外にも展開されている。yamaはそのうち、Zepp Kuala Lumpurでツアー初日を行い、Zepp New Taipeiにて千秋楽を行う。約2,000人規模の会場に、yamaの美しい歌声が響き渡るだろう。 ■fhána 今年メジャーデビュー10周年を迎えたfhánaは、来年1月に韓国(WEST BRIDGE LIVE HALL)と台湾(NUZONE 展演空間)、東京の3都市を回る初のアジアツアー『Beautiful Dreamer ASIA Tour 2024』を開催する。2017年にリリースした「青空のラプソディ」は国外でもヒットし、海外のアニソンイベントでも特に人気の楽曲となっている。いずれも数百名規模の会場だが、長いコロナ禍で海を渡れなかった期間が終わり、生で聴くことを待ち望んでいる現地のファンは多いだろう。 そのほか、Michael Kanekoは10月から始まったツアー『JAPAN & ASIA TOUR 2023』で東京、大阪、札幌に加え、中国、タイなど日本からアジア各国を巡る予定だ。たなか、Ichika Nito、ササノマリイからなるバンド・Diosは中国4都市(深圳・広州・北京・上海)を巡る初のアジアツアー『Dios CHINA Tour 2023』を開催し、3人組バンドのShe Her Her Hersは12月から中国8都市を含めた初のアジアツアー『"Diffusion of Responsibility" Asia Tour 2023-2024』を開催する。すでに開催済みのものでは、6月にAwichとJP THE WAVYが香港、上海、台北の3都市を回る初のアジアツアー『Asia Rising Tour』もあった。 インターネットやSNSの普及によって、以前よりも海外のリスナーを獲得しやすくなった今、こうしたボーダーレスな活動は今後も重要になってくるだろう。
荻原梓