考察『不適切にもほどがある!』9話。令和の事情に太刀打ちできない昭和
未来を知っても 騒がない10代たち
9話では昭和で未来に夢を膨らませ、受験に勤しむ純子が改めてムッチ先輩(磯村勇斗)を振るシーンがあった。 「だけど世界は広くて、先輩の背中よりもっと広くて、いろんな生き方があるって知ってしまったの」 「YOASOBI、いきなり!ステーキ、高輪ゲートウェイ、50代のキョンキョンにも会いました」 「それなのに自分のスタイルを貫けるって、やっぱり先輩カッコいいです」 未来を知って受験を志す純子、純子を追って未来を経験したけれど変わらないムッチ先輩。昭和と未来を行き来する人々のうち、大人である市郎やサカエらは何かと大騒ぎだけれど、10代の純子やムッチ先輩は落ち着いて受け止めている。○○世代という属性で何かを決めつけているのは私も同じなのかもしれない。 今回は傷つく孫娘を市郎が昭和に連れていくシーンで終わった。いよいよ最終回。この物語はいったいどこにたどり着くのだろう。 ●番組情報 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS) 脚本:宮藤官九郎 演出:金子文紀、坂上卓哉、古林淳太郎、渡部篤史、井村太一 出演:阿部サダヲ、仲里依紗、吉田羊、磯村勇斗 他 プロデュース:磯山晶、勝野逸未、天宮沙恵子 主題歌:Creepy Nuts『二度寝』 ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 ●オカヤイヅミ 漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。この2作品で第26回手塚治虫文化賞を受賞。趣味は自炊。 Edit_Yukiko Arai
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