吉田山田が大阪天満宮でヒット祈願「10周年の目標公言しない」
NHKみんなのうた「日々」でブレイクした男性2人組アーティスト吉田山田が1日、大阪市北区の大阪天満宮で最新アルバム「変身」のヒット祈願を行った。「変身」のアルバムリード曲「宝物」とヒット曲「日々」を奉納演奏。詰め掛けたファンとともにデビュー10年に向けて新たなスタートを切った。 【動画と拡大写真】吉田山田が語る「日々」その後 新曲は今までで一番シリアス
書道パフォーマンスに合わせて新曲を熱唱
「変身」は1日発売で、1年8か月ぶり5枚目のアルバム。2人は展開中の全国ツアーの合間を縫って、芸能の神様として知られる大阪天満宮で初めてのヒット祈願に臨んだ。緊張した面持ちで祈りを捧げるとともに、「変身」のアルバムリード曲「宝物」を奉納演奏。厳かな神殿内に2人の歌とギター演奏が響き渡った。 祈願を終えた後、境内の特設ステージへ。大阪在住の書道家、青柳美扇さんが応援に駆け付けた。詰め掛けたファンの前で、2人は青柳さんの書道パフォーマンスに合わせて、ヒット曲「日々」と新曲「宝物」を熱唱。2人が歌い終わると、「変身」の2文字をダイナミックに表現した即興作品が完成。ファンとともに見事な出来映えに驚いていた。
目標の晴れ舞台に立つにふさわしい人間目指す
吉田山田は吉田結威と山田義孝のユニットで、2009年10月メジャーデビュー。13年12月に放送を開始したNHKみんなの歌「日々」が泣ける歌と支持されてブレイク。デビュー8年目を迎え、「変身」は節目となるデビュー10周年への道道筋を探る重要な作品集だ。 吉田は「10周年の目標は決まっているが、公言しない」と語り、次のように真意を明かす。 「目標を公言すると、目標達成だけに焦点が絞られてしまいがちだ。10周年を迎える時、僕たちが立っていたい場所は決まっているが、その場所に立つにふさわしい人間に成長できるかを大切にしたい」 吉田の内面重視論は作品世界とも通じ合う。山田が手掛けた「宝物」には、化粧をしなくなった母親や疲れ果てて眠りこける父親が登場する。日本の楽曲には珍しい設定だろう。山田は非難をすることなく、温かいまなざしを向ける。山田は「曲作りの際、ふたりの姿が真っ先に浮かんできた。過去の自分に向けて歌っている」と話す。少々困った顔をしながらも、両親のそばから離れようとしない山田少年の姿も見えてくる。まぎれもない家族の情景だ。 山田は小学6年までおねしょをし、家族らをあわてさせた痛恨のトピックスを隠そうとしない。おねしょ体験から異色作「しっこ」が生まれた。「笑ってもらおうと作ったのではない。変身するには自分をさらけ出すことが必要」との思いに至ったからだ。身近な世界に愛着を持つ。自身に恥じることなく内面の変身や成長と、じっくり向き合う。時流が上滑りしやすい中、幅広い世代の人たちの共感を呼ぶ視点ではないだろうか。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)