世田谷美術館「企業と美術シリーズ」第5回は東急とコラボ 東急各線にまつわる資料などから社会の変遷をたどる
東京・世田谷美術館は、2007年以来、資生堂(2007年)、髙島屋(2013年)、東宝スタジオ(2015年)、竹中工務店(2016年)とタイアップして、4回にわたって「企業と美術シリーズ」の展覧会を企画してきた。その第5回目として、東急株式会社と協力した展覧会が、11月30日(土)から2025年2月2日(日)まで、同館で開催される。 【全ての画像】「東横、目蒲電車沿線案内」ほか広報用画像(全16枚) このシリーズのねらいは、人々の暮らしと密接な関係をもつ企業活動のなかで蓄積された様々な文化的な側面に光をあて、各企業が保管している多種多様な資料を歴史的・社会的な文化資源としてとらえることによって、人々の日常の変化や展開、さらに社会の変遷を探ることにあるという。 実業家の五島慶太が創設した東急は、大正時代以来、洗足や大岡山、田園調布といった郊外住宅地の開発を手がけ、戦後は多摩川を越え、多摩地域で良質かつ大規模な宅地開発を進めてきた。そして宅地開発と結びつくように、鉄道事業も展開。世田谷区内には、世田谷線、田園都市線、大井町線、目黒線が走り、区内に駅はないものの東横線も区民の大切な暮らしの路線として機能し、また東急バスの各路線が地域を面的にカバーしている。人々の住環境を醸成し、利便性のみならず、豊かな暮らしを提案する東急はまた、五島育英会、東急財団、五島プラネタリウム、五島美術館、電車とバスの博物館、Bunkamura、さらに多摩川スピードウェイや駒沢野球場、田園コロシアムなど、文化的・社会的な様々な事業も展開してきた。 同展では、その東急の100年を超える歩みを様々な資料を通じてたどるもの。東急が運営する「電車とバスの博物館」の全面協力により、歴代の鉄道車両の模型や設計図面、記念乗車券の数々、開札鋏などの懐かしい鉄道アイテム、さらには遺構レールといった驚きの品が登場するほか、宅地開発の模型やパンフレット、様々な文化事業にまつわる資料も並ぶ。 東京という大都市圏における生活基盤の整備のために、東急が果たしてきたこれら先駆的な事業や取り組みを紹介する同展ではまた、美術作品の紹介もある。東急線沿線には、大勢の美術家たちが拠点を構えてきたからだ。竹久夢二や岡本太郎、河原温など、総勢40名を超える世田谷区ゆかりの美術家たちから、五島記念文化賞を受賞した現代アーティストまで、幅広い世代とジャンルの表現に出合うことができるだろう。 <開催概要> 『東急 暮らしと街の文化ーー100年の時を拓く』 会期:2024年11月30日(土)~2025年2月2日(日) 会場:世田谷美術館