好奇心をもって相手の話を聞く
先日、トレーニングの一環で、私がコーチ仲間にコーチングしてもらい、私からその方へICF(国際コーチング連盟)のPCCマーカーを活用しながらフィードバックする機会がありました。 PCCマーカーのコンピテンシー5「今ここに在り続ける」の中に、「5.4 コーチはクライアントのことをより知りたいという好奇⼼を⽰している」という項目があります。 そのコーチングで、相手から興味をもって話を聞かれているように感じなかった私は、コーチング後のフィードバックで、この項目と絡めて、 「○○さんに話を聞いてもらっている感じがしませんでした」 と伝えました。すると、相手からは、 「なんとなく栗井さんの話に興味をもてなかったんです」 という回答が返ってきました。その言葉に密かに傷ついた私でしたが、それをきっかけに、二人で「クライアントへの興味や関心、好奇心は、どうしたら湧いてくるのだろうか」というテーマについて話し始めました。
興味や関心が湧くと、本当に話を聞けるようになるのか
幕末に奇兵隊を組織した高杉晋作の有名な言葉に、 「おもしろき こともなき世を おもしろく 住みなすものは 心なりけり」 というものがあります。これは言い換えれば、「意識を変えれば、行動が変わる」ということでしょう。自分の体験からも、その言葉は真実であると思います。 一方で、アメリカの心理学者であり哲学者でもあるウィリアム・ジェイムズはこういいます。 「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」 つまり、先の言葉とは逆で「行動が変われば、意識が変わる」ということです。 果たして、意識が変わるのが先なのか? それとも行動が変わるのが先なのか? これについてはおそらくどちらも真実で、どちらかが正しいというものでもないのでしょう。そう考えると、「興味、関心があるから話を聞ける」は一つの真かもしれませんが、「話を聞くから、興味、関心をもてる」というのも、また真なりなのかもしれません。たしかに「興味、関心がなければ、相手の話を聞けない」というのでは、あまりに寂しい気がします。